今回は「口コミを生み出す仕組みの作り方と成功事例」というテーマでお話ししていきたいと思います。
「口コミ」という言葉を耳にして、「ああ、このことか」とすぐに理解される先生も多いと思いますが、改めて「口コミとは何なのか?」と調べてみたんですね。
すると、口コミとは「商品やサービスを利用した消費者、つまりお客様が、その感想や評価を他の人と共有すること」と解説されていました。
かつては口コミというと、人づてに広がる情報伝達、いわゆる対面での評判の伝わり方が主流でした。
私自身も、以前は口コミといえばそういうものを想像していました。
しかし現代では、インターネットの普及によって「口コミサイト」や「SNSでの書き込み」も、口コミの一種として定義されるようになっています。
そして、その口コミを活用することによって、様々な効果が生まれているのです。
言い換えれば、口コミとは「お客様の声」そのものだということです。
お客様の声は最強の信頼ツール

たとえば、健康食品などのテレビCMを見ると、実際に商品を摂取しているお客様が感想を語っているシーンを目にしますよね。
また、先生方の中にも、ご自身の教室のホームページに「生徒や保護者の声」を掲載されている方もいらっしゃると思います。
このように「お客様の声」は、ビジネスを行っていく上で非常に重要なツールであり、信頼性の高い情報源にもなります。
中には、この「お客様の声」を非常に重視されている経営者の方もいます。
例えば、カレーハウスCoCo壱番屋(以下:ココイチ)の創業者である宗次徳二(むねつぐとくじ)さん。
宗次さんは、長年毎朝4時に出社し、全国の店舗から届くお客様アンケートに毎日2~3時間かけて目を通しているそうです。
さらに、そのアンケートに一つひとつ返事まで書かれていると聞いたことがあります。
それほどまでに、お客様の声を大切にしているのです。
教室経営にも通じる「お客様の声」の力

もちろんこれは飲食業に限らず、教室経営においても同じことが言えます。
お客様の声を集めることは、大きなプラスの効果をもたらすのです。
最もスタンダードな使い方は、いただいた感想をホームページやブログに掲載したり、InstagramなどSNSで発信したりすることです。
これだけでも十分効果的ですが、それ以外にも活用法があります。
お客様の声は、単に掲載するだけでなく、さまざまなメリットをもたらす活用方法があるのです。
そこで今回は、お客様の声をどのように活用すると良いのか、その具体的な方法についてお伝えしていきます。
さらに、効率的に声を集める方法や、実際にお客様の声を活用して教室経営がうまくいった事例についてもご紹介したいと思います。
それではここから「お客様の声の活用法」を3つ、ご紹介いたします。
活用法①:お客様の声を集めると教室の強みが分かる

まず1つ目は「お客様の声を集めると、教室の強みが分かる」ということです。
具体例をご紹介しましょう。
私のクライアントに、ピアノ教室をされている先生がいらっしゃいました。
その先生にお願いして、既存の生徒さんの保護者の方々に「お客様の声」を書いていただいたんですね。
すると面白いことが起こりました。
複数の方が、示し合わせたわけでもないのに、同じような内容を書かれていたんです。
内容はこうです。
「以前は大手の音楽教室に子どもを通わせていました。しかし、そこは一斉レッスンで、子どもがついていけないことがあり、少しかわいそうに思っていました。ところが、先生の教室は個人レッスンなので、子どものペースに合わせて指導してくださり、とても助かっています。」
このような感想を、複数の方が寄せてくださったのです。
つまり、そのピアノ教室が選ばれている大きな理由は「個人レッスン」だった、ということが明確になったわけです。
このように「お客様の声」を集めることで、教室の強みや、他の教室との差別化要因を発見することができます。
これが活用法の1つ目です。
活用法②:お客様の声をキャッチフレーズとして活用する

続いて2つ目は「お客様の声をキャッチフレーズとして活用する」という方法です。
ホームページやチラシなどで生徒募集をする際、教室の魅力を端的に表すキャッチフレーズは非常に重要です。
マーケティングの世界では昔から「見出しが成果の8割を決める」と言われています。
つまり、キャッチフレーズの良し悪しで反響の大部分が決まるということです。
ホームページであれば、スクロールしなくても最初に目に入る「ファーストビュー」の部分。
チラシであれば、最上部に配置される見出し部分。
そこに載せるキャッチフレーズが成果を左右するのです。
では、反応の高いキャッチフレーズとは何か?
その一つが「お客様の声」なのです。
実際に寄せられた声を、そのままキャッチフレーズにすることで、反響が高まる傾向があります。
たとえば先ほどのピアノ教室の例では「個人レッスンで子どものペースに合わせてくださるので助かっています」という感想がありました。
この言葉をそのままキャッチフレーズとして使うのです。
「個人レッスンで、子どものペースに合わせてくださるので大変助かっています。(小学校3年生のお母様)」
こうした形で載せると、非常に効果的です。
その理由は2つあります。
1つは、その教室の強みである「個人レッスン」が自然に表現されていること。
もう1つは、実際のお客様の言葉をそのまま使っているため、信頼性と説得力が増すことです。
この2つの効果が相まって、キャッチフレーズとしての反響が大きく高まるのです。
これが2つ目の活用法です。
活用法③:お客様の声を集めると「集客経路」が分かる

そして、3つ目の活用法は「お客様の声を集めることで集客経路が分かる」ということです。
どういうことかと言いますと、実際にお客様の声を集めてみると、その感想の中に「ネットで探してこの教室を見つけました」とか「以前から教室の前を通っていて気になっていました」といった具体的なフレーズが含まれているのです。
また「近所に子供だけで通える教室がないかと思って探していました」といった声もよく見られます。
こうした感想は、非常に貴重な情報源です。
「ネットで探して見つけた」という声から分かること

たとえば「ネットで探して教室を見つけた」という声が複数寄せられる場合、お客様の集客経路は「ネット検索」が中心であると分かります。
さらに詳しく聞いてみると「検索エンジンで調べて見つけたのか」、「InstagramなどのSNSで流れてきたのか」といった違いも特定できます。
私の経験上、多くの場合はネット検索経由で見つけてくださっているケースがほとんどです。
もし「ネット検索で見つけました」という声が複数あるのであれば、ネット検索が主要な集客ルートであることが分かります。
その上で実際に「地域名+ピアノ教室」などのキーワードで検索してみて、自分の教室のホームページやブログが検索結果の上位に表示されていない場合には、SEO対策を強化する必要があります。
順位を上げることができれば、ネット検索経由での集客数はさらに増えていくでしょう。
また、単一のキーワードだけでなく「様々なお客様が検索しそうなキーワード」を想定して対策を講じることによって、ネット検索からの集客の確率はより高まります。
「通りがかりの認知」も集客につながる

一方で「以前から教室の前を通っていて気になっていた」という声があれば、教室の前を通る人々への認知をさらに促進する工夫が必要です。
たとえば、教室前を明るくしたり、のぼりや看板を設置したりすることで「ここに教室がある」と気付いてもらいやすくなります。
また、教室前にチラシやQRコードを設置してホームページに誘導する仕組みを作ると、さらに関心を高めてもらえる可能性があります。
その結果として、そこからの集客につながっていくのです。
「近所で通える」ニーズを掴む

さらに「近所で、子供だけでも通える教室を探していました」という声もよくあります。
これは、どんなジャンルの教室でも寄せられる代表的な声です。
こうした感想が多く寄せられる場合、教室の「コア商圏」は近隣にあるということが明確になります。
その場合は、近隣住民に向けてPRを強化することが効果的です。
具体的には、近隣地域に集中してポスティングを行ったり、チラシを配布するなどの方法が考えられます。
こうすることで費用や労力を抑えながら、効率的に集客につなげることができます。
このように「お客様の声」は、ただホームページやチラシに掲載するだけでなく、集客経路を把握するための重要なデータとしても活用できるのです。
結果として、教室の集客や経営改善に大きく役立てることができます。
お客様の声を効率的に集めるための3つのポイント

ここからは「お客様の声を効率的に集めるためのポイント」についてお話しします。
大きく分けて3つのポイントがあります。
ポイント①:お願いする「タイミング」を見極める

まず1つ目のポイントは「タイミング」です。
お客様の声をお願いするということは、お客様に手間をかけてもらうことでもあります。
そのため、お願いをしてもなかなか書いていただけないというケースも少なくありません。
しかし、タイミング次第で快く協力していただける場合があります。
たとえば学習塾であれば、テストの結果が返ってきたタイミングや、合格が決まったタイミングです。
合格が決まった時は当然、嬉しくて気持ちが高まっていますよね。
そうした時に「合格おめでとうございます。ぜひ、ここで学んだ感想を聞かせていただけませんか」とお願いすると、気分が高まっている流れで「いいですよ」と快く書いていただけるのです。
これは学習塾に限らず、他のジャンルの教室でも同様です。
たとえば発表会やコンクール、イベントの出演直後、あるいは年度末や年度の切り替えのタイミングも有効です。
こうした「節目」では気持ちが盛り上がりやすいため、お客様の声を書いていただける確率が高まります。
このように、タイミングを見極めることがお客様の声を集める最初の大切なポイントです。
ポイント②:質問項目を用意して書きやすくする

では続いて、2つ目のポイントは「質問項目を作る」ということです。
これまで生徒さんや保護者の方から「お客様の声」を集めようと努力された先生の中には、思うように集まらなかったり、いただけても「楽しく通っています」「上達しました」など、1〜2行程度の短い感想しか得られなかった、という経験をお持ちの方も多いと思います。
なぜそのようなことが起こるのか。
それは、お願いされた側が「何を書けばよいのか分からない」からなんですね。
ですから、こちら側からあらかじめ質問項目を用意しておくことが効果的です。
たとえば「ココイチ」さんが実践しているようなアンケート形式を参考にすると分かりやすいでしょう。
ただし、5段階評価のように〇をつけるだけの形式であったり、回答までもをこちらが用意するのではありません。
質問だけを提示し、回答は自由記入にしてもらうのが望ましいです。
質問を用意することで、お客様は回答しやすくなり、回答率もぐんと上がります。
つまり「お客様の声」が集まりやすくなるのです。
実際に、ココイチさんには毎日のように全国からアンケートが届き、宗次徳二さんは毎日2〜3時間かけて、それを読まれていると言われています。
それくらい質問項目を用意する効果は大きいのです。
これが2つ目のポイントです。
ポイント③:書き方例を提示する

そして最後の3つ目のポイントは「書き方例を提示する」ということです。
これは、先ほどの「質問項目を作る」の応用編のようなものですね。
ある学習塾の先生が実践されていた方法なのですが、その工夫がとても秀逸でした。
その先生は「テストの点数が上がった」「志望校に合格した」といったタイミングで感想を書いてもらっていたんです。
さらに、その際にA4用紙の上半分に「書き方例」を印刷して、下半分を記入欄にしていました。
この「書き方例」には、実際に過去に生徒さんが書いた感想を2例ほど掲載していました。
その結果、「何を書けばよいか分からない」という不安が解消され、保護者や生徒さんも自然に同じくらいの分量で、自分の体験を自分の言葉に置き換えて書いてくださるようになったのです。
こうして集まった感想は分量もあり、読み手に「ここは良さそうな教室だな、行ってみたいな」と思わせる効果的なものばかりでした。
つまり、書き方例を示すことで、効率的に、かつ質の高い「お客様の声」を集められるということです。
これが3つ目のポイントです。
Googleマップのレビュー活用が増加中

さらに補足として、近年では集めた「お客様の声」をGoogleマップのレビューに活用するケースも増えています。
検索結果では、ホームページよりGoogleマップが上位に表示されることも多く、入会のきっかけがレビューだったというケースは確実に増えています。
レビュー数が多ければ多いほど信頼感も増し、「ここなら良さそうだ」と思ってもらいやすくなるのです。
実際に「Googleマップでこの教室を見つけ、書かれていた感想を読んで入会を決めました」と話す方もいらっしゃるほど。
つまり、レビューは「入会を決断する最後の後押し」になっているわけです。
3つのポイントのまとめ

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以上をまとめます。
- 1つ目:タイミングを見計らって依頼する
- 2つ目:質問項目を用意する
- 3つ目:書き方例を提示する
この3つのポイントを実践すれば、お客様の声は効率的に、かつ効果的に集めることができます。
さらに、それをGoogleマップやチラシ、ホームページなどに活用すれば、教室経営に大きなメリットをもたらすでしょう。
お客様の声は、先生の理想の教室づくりを後押しする大切な資産です。
ぜひ今回の内容を取り入れて実践していただければと思います。




