今回なんですけども、僕が配信しているメルマガの読者さんから頂いたご相談にお答えしたいと思うんですね。
先日メルマガで、教室集客や経営に関するお悩みを募集したところ、先生方からいくつもご相談を頂戴しました。
そこで今回は、その中からお一人の先生のご相談にお答えしたいと思います。
少林寺拳法教室の先生からのご相談

まず、ご相談内容を読み上げたいと思います。
現在、少林寺拳法の先生をしています。今から約4年前に先代の先生より教室を引き継いだのですが、そのタイミングで当時来ていた小学生たちや保護者が一斉に辞めてしまい、それに伴って募集をしていますが、なかなか新しい生徒が来てくれません。どうすれば良いか教えてください。
というご相談です。
ご相談いただきまして、どうもありがとうございます。
少林寺拳法の教室を引き継がれたということで、そしてその直後に生徒や保護者の方たちが一斉に離れてしまい、そこから新規の生徒さんがなかなか来られないということで、とてもご苦労されたと思うんですよね。
先生ならどんなアドバイスをしますか?

ここで、これをご覧になっている先生方にちょっとした提案があります。
今回の少林寺拳法の先生のご相談について、先生だったらこの方にどんなアドバイスをされるでしょうか?
もしくは、先生ご自身が今回のご相談者の立場だったら、どんな行動を取ると思いますか?
ぜひ一度、それを考えてみていただきたいんですね。
できれば、いったんここで、自分ならこうアドバイスするな、自分がこの立場ならこうするだろうな、と少し考えてみてください。
それを考えていただいてから、続きをご覧いただければと思います。
“一斉に辞めた”ことのメッセージ性

はい。ということで、考えていただけましたでしょうか。
では、僕の方から話を続けていきたいと思います。
今回のご相談については、本来であればもう少し詳しい状況を伺えれば、より的確に僕なりの考えをお伝えできたかもしれません。
例えば、現在の生徒数はどれくらいなのか、集客のために現状どんな取り組みをされているのか、その集客活動によって実際にどれくらいの入会があったのか、などの情報があれば、特にマーケティング面ではより具体的にアドバイスができたと思います。
ただ、いずれにしましても、今回のケースで僕が重要なポイントだと感じたのは「先代の先生から教室を引き継いだタイミングで、生徒・保護者が一斉に辞めてしまった」という点なんですね。
もちろん、その方々にも様々な事情があったのだと思います。
ですが、こうして先代から引き継いだ途端に生徒や保護者が辞めてしまうということは、何らかのメッセージではないか、と感じたんです。
それはつまり、「ここからは、0から自分の教室を作っていきなさい」という、ある種のメッセージではないかと思うんですよね。
先代のやり方と“自分流”の教室づくり

先代の先生から教室を引き継いだということは、意識的にも無意識的にも、先代の先生のやり方や考え方を踏襲している部分があると思います。
もちろん、先代の先生が大切にされてきた部分を引き継ぐことは重要です。
ただ、もし今回のご相談者の先生が「今度は、自分が誰かにバトンタッチする立場」だとしたら、どう考えるでしょうか?
ご相談者の先生は、4年前に先代から教室を引き継がれたわけですが、「自分が今度バトンタッチする立場だったら」と想像してみていただきたいんですね。
その場合、自分がやってきたことをすべてそっくりそのまま受け継いでほしいと思うでしょうか?
もちろん、自分が大切にしてきた価値観や伝統は引き継いでもらいたいと思うでしょう。
ですがその一方で、バトンを受け取る先生にもその先生の良さがあり、それを自分らしく発揮して欲しいという気持ちもあるのではないでしょうか。
つまり、ご相談者の先生が引き継ぐべき価値観は大切にしつつも、同時に「自分自身の理想の教室」を作っていくことが必要なのだと思います。
そして、先代の先生もそれを望んでいるのではないかと感じるんですね。
スティーブ・ジョブズの継承の話に学ぶ

例えば、iPhoneやiPad、MacBook Airなど、今までにない製品を次々に生み出したAppleという会社があります。
そのAppleを築き上げたのが、創業者のスティーブ・ジョブズ氏ですよね。
ジョブズ氏は2011年に亡くなられましたが、亡くなる直前に語ったとされる有名な話があります。(真偽は諸説ありますが、広く語られています。)
それは、後継者であるティム・クック氏に対して「これからAppleをどうしていくか考えるとき、“私だったらどうするか”と考えるな。正しいと思うことをやれ」と伝えた、というエピソードです。
これはつまり、「自分の影に囚われた判断をするな。自分の意志でAppleを導け」というメッセージですよね。
もしクック氏が“ジョブズだったらどうするか”と常に考えてしまえば、Appleは動けなくなり、衰退してしまうかもしれない。
だからこそ、“自分が正しいと思う判断をしろ”と伝えたと考えられています。
何を受け継ぎ、何を変化させていくのか?

この話は、どの企業や教室にも当てはまると思うんです。
誰しも、いつか現場から離れる時が来ます。
そのときに後継者が「先代だったらどうするだろう」と考えてしまうのは、その時点で自分自身で動けない状態になっているかもしれません。
それでは、継承はうまくいきません。
今回の少林寺拳法の先生は、これまで先代の先生と長い時間をともに過ごされ、たくさんのことを学ばれたと思うんですね。
であれば、先代の先生は必要なことはすべて伝えてくれているはずです。
だからこそここからは、「何を受け継ぎ、何を自分らしく変化させるか」を自分で決めて進んでいくタイミングなのだと思うんです。
さらに、「どうして先代の先生は、今回のご相談者の先生に教室を継いでほしいと思われたのか?」について考えてみるといいと思います。
特に個人教室の場合、創立者が自分の代で閉じるという選択をするケースも多いですよね。
そんな中で、あえて“継承”という選択をしたということは、「この人なら」と思える後継者が必要だったわけです。
そしてもし候補者が複数いれば、その中から最も適任と思える人を選ばなければいけません。
おそらく今回のご相談者の先生は、先代の先生から見て「この方なら託せる」と思われた存在だったのだと思います。
だとすれば、なぜ自分が選ばれたのか。
そこには、必ず理由があります。
そして、その理由の中に先生ご自身が作っていくべき“自分流の教室のヒント”が隠れているのではないでしょうか。
事業継承には“新陳代謝”がつきもの

それから、今回のケースというのは、いわゆる事業継承ですよね。
そして、継承に限らず、事業が次のステージに向かう時には、人間関係の“新陳代謝”というものが必ず起きます。
これは、本当に避けられないことだと思います。
企業であれば従業員さんが辞めるということもありますし、今回のご相談者の方のように、お客様が離れていくというケースもあります。
このような人間関係の新陳代謝は、かなり高い確率で起こるものです。
今回のケースでいえば、先生が新たに教室を引き継がれて、教室を続けていく中で「こういうことを教えていきたい」「こういう価値を伝えていきたい」、さらには「レッスン内容をこう変えていきたい」という変化が必ず生まれます。
時代は絶えず変化していますから、それに伴ってレッスン内容や教室運営そのものが変わっていくのは自然なことです。
しかし、先生や教室が変化していくと、今まで通りのレッスンを求めていた方にとっては不満が出たり、違和感を覚えたり、だんだんと居心地の悪さを感じるようになることがあります。
その結果、教室を辞めるというケースは実際にあります。
向かい風は「飛び立つための揚力」になる

僕のクライアントさんでも、同じような経験をされた先生がいらっしゃいます。
ただ、僕がそうした先生方を見て感じるのは、「引き継いだタイミングでお客様が離れていく」というのは、見方を変えると“試されている”のではないかということです。
これから本当に、自分がやりたい教室づくりを実行していくのか。
本気で“自分流の教室”を作る覚悟があるのか。
ここが試されている、そう感じるんですね。
だからこそ、先代の先生から引き継いだタイミングで一斉に生徒や保護者の方が離れていったのではないか。
今回の出来事は、ご相談者の先生にとって「これから自分の教室をやっていく覚悟」を問う、一つのお試しのような出来事だったのではないかと感じています。
実際のところ、そこで覚悟を決めて、腹を据えて「よし、やるぞ」と決意し、これまで「いつかやりたい」と思っていたことに取り組み始めたり、新しいチャレンジをし始めると、それに伴って新しい出会いがやってくるケースが少なくありません。
ですから現状は、引き継いだ途端に以前の方々が離れてしまい、そこからなかなか人が集まらないという状態で、事業としては前に進みたいのに進まない、まるで向かい風を受けているかのように見えるかもしれません。
しかし、飛行機に例えるなら、飛行機は“向かい風”を揚力に変えることで離陸できます。
加速すればするほど向かい風は強くなりますが、それでもスピードを緩めずに加速し続けることで、風が揚力となり飛び立つことができるんです
逆に、向かい風が強いからとスピードを落としてしまうと、離陸はできません。
“先生流”の教室づくりを加速させるタイミング

これになぞらえるなら、今の向かい風のような状況を、もう一段教室をレベルアップさせるため、あるいは先生流の教室を作り上げるための“揚力”に変えていくことが大切だと思います。
そのことによって、さらに前進していけるのではないかと思うんですね。
もちろん今回のご相談については、ご相談者の先生もこういったことは既に理解されていると思いますし、4年前に教室を引き継がれてから、ご自身なりに様々な取り組みをされてきたと思います。
その上でですが、これまで取り組んできた“先生流の教室づくり”があるのであれば、さらにそれを推し進めてみても良いかもしれません。
先生が引き継いでから新たに始めた取り組みがあるなら、その量や頻度を増やすのも一つの方法です。
また、新しいチャレンジをしてみるのも良いと思います。
そして「こういうことをやってみたい」「レッスンに取り入れたい」「こんなクラスを作ってみたい」と思いながらも、様々な事情やタイミングの問題で先延ばしにしてきたことがあるなら、むしろ今こそ始めるタイミングなのかもしれません。
それが結果として、先生流の教室づくりを後押しする可能性は十分あると思います。
ぜひそういったことを踏まえて、先生流の教室づくりをさらに進めたり、新たに取り組んでみたり、先延ばしにしていたことを思い切って始めてみていただきたいと思います。
教室の魅力を発信する重要性

その一環として、「先生流の教室とは何なのか」「先生がどんな思いで教室を運営しているのか」、さらには「現在どんな生徒さんが通っていて、どんなところに少林寺拳法の魅力を感じているのか」「習ったことでどんな良い変化があったのか」などを、ホームページやSNSで発信していくことも今後ますます必要になるかもしれません。
さらに、ホームページやSNSに見込み客を集めるためのマーケティング施策も必要になるかもしれません。
また、先生のメッセージや教室の魅力を発信することはもちろん大事ですが、「それが相手にしっかり伝わるか」というのも非常に重要です。
ですから、見込み客の心に届くコピーライティングや、申し込みにつながる成約率の高いホームページづくりも、今後の課題として挙げられるかもしれません。
そういったことも含めて、ぜひ「先生流の教室とは何か?」を追求し、それを一つひとつ形にしていくために行動を続けていただきたいと思っています。
先生の教室がますます発展されることを応援しております。
先生へのアドバイスは、実は自分に必要な答え

そして冒頭で、「ご覧になっている先生ならどんなアドバイスをしますか?」「自分がその立場ならどう行動されますか?」と問いかけましたが、覚えていらっしゃいますでしょうか。
その答えなんですが、意外と“先生ご自身の教室で実行すると効果的なもの”が多かったのではないでしょうか。
実際、今回のご相談者の先生へのアドバイスだと思って考えてみたら、「あれ、これ自分の教室でやったら結構効果あるんじゃない?」というアイデアを思いつかれた方も多いと思います。
ですのでぜひ、ご自身が考えられたアドバイスやアイデアをご自分の教室でも実践してみてください。
最後に、今回のように先生方からのご相談に僕がお答えする機会を、これからも作っていきたいと思っています。
ご相談は、僕のホームページのお問い合わせフォームから受け付けています。
日頃、教室運営について疑問に思っていることや、誰かに質問してみたいと感じていることがある先生は、ぜひホームページのお問い合わせフォームからご相談をお寄せください。
ということで今回は、少林寺拳法の教室を運営されている先生からのご相談にお答えしました。




