今回は、私が配信しているメルマガの読者である先生から頂戴したご相談についてお答えしていきたいと思います。
今回は、ピアノ教室の先生からご相談をいただきました。
まずは、ご相談内容を読み上げていきたいと思います。
「私はピアノ教室を経営しています。お客様が来ないとつい焦ってしまい、値下げをしてしまいます。どうしたらこの“お金の不安”を手放せますか?」というご相談なんですね。
さらに続きがあります。
「コロナ以降、生徒の入れ替わりが激しく、安定した収益が出にくくなっています。空き枠が増えるたびに『また誰も来なかったらどうしよう』という不安に襲われ、キャンペーン値下げを繰り返してしまっています。しかし値下げで入ってきた生徒は長続きせず、負担だけが増えてしまい、最近は“このままでは教室を続けられないかも…”と思いながらも、値上げの勇気が出ません。」
こういったご相談なんですね。
コロナ禍以降の教室経営の現実

ご相談くださいまして、どうもありがとうございます。
コロナ禍以降、安定した収益化が難しくなっているということですよね。
生徒を増やすためにキャンペーンを行い、例えば「入会金無料」や「初月無料」など、さまざまな値下げを繰り返してこられたということですね。
その結果、一時的には生徒が来てくれるものの、値下げで入会した生徒は長続きせず、また新しい生徒を集めなければならない。
そのために、再びキャンペーンをして集めることになり、疲弊してしまった。
こういう状況ですね。
本当に大変だったと思います。
肉体的にも精神的にも疲れていらっしゃるのではないでしょうか。
さて、ここでご覧くださっている先生方に提案があります。
今回のピアノ教室の先生のご相談に対して、先生ご自身だったら、どんなアドバイスをされるでしょうか?
また、もし先生が今回の相談者の立場だったら、どんな行動を取るでしょうか?
ぜひ一度、それを考えてみていただきたいんですね。
よければここで一旦停止して「自分ならどうするか?」を考えてみてから、続きをご覧いただければと思います。
……はい、考えていただけましたでしょうか。
では、お話を続けていきます。
結論:お客様の声を集めてください

今回のご相談について、まず結論からお伝えします。
ズバリ――「お客様の声を集めてください」。
本当に、お客様の声というのは教室経営において“万能薬”だと思います。
集めることで、さまざまな改善策が見えてきたり、売上アップにつながったり、効果が大きいんですね。
ここでいう「お客様の声」とは、現在通ってくださっている生徒さん、そして今回の場合は小さなお子さんが多いと思いますので、その保護者の方に教室についての感想を書いていただく、またはインタビューしてヒアリングしたものです。
どちらの方法でも良いのですが、できれば“文章で書いていただく”ほうが望ましいと思います。
インタビューも悪くはないのですが、後々の活用を考えると、書いていただく形が最も使いやすいんですね。
今回のご相談内容を見ると、キャンペーンで来られた生徒は長続きしなかったということですが、今も通ってくれている生徒さんも必ずいらっしゃるはずです。
実際、ご相談の際に現在の生徒数も記載してくださっていましたので、一定数の生徒さんが今も残っていることは確かです。
ということは、その方々が「なぜ先生の教室に通い続けているのか」を明確にすることが非常に大切なんですね。
先生はすでに2回も選ばれている

私がよく先生方にお伝えするのは、「先生は生徒さんから少なくとも2回選ばれている」ということです。
お客様の立場で考えてみてください。
ピアノを習うかどうかの段階で、まず“習い事としてピアノを選んだ”という1回目の選択があります。
そして次に、「どこのピアノ教室にするか?」という選択肢の中で、先生の教室を選んだ――これが2回目です。
2回も選ばれているんです。
これって本当にすごいことなんですよ。
つまり先生はすでに“価値ある存在”として選ばれているということです。
この前提をまず認識していただきたい。
その上で、「では、なぜ選ばれたのか?」を知る必要があります。
必ず理由があります。
それが“強み・独自性・差別化要因”と呼ばれるものです。
これを知るために「お客様の声」が必要なのです。
教室の強みを知るには?

では、お客様の声はどう集めればいいのか?
どんな質問をすれば良いのか?
ここが次のポイントです。
感想をただ「お寄せください」とお願いしても、抽象的すぎて生徒さん・保護者の方は何を書けばよいかわかりません。
その結果、「楽しく通っています」「レッスンが楽しいです」など、短く一般的な感想しか集まりません。
そこで、先生のほうから“具体的な質問項目”を用意してあげる必要があります。
今回は、そのうち特に重要な質問を2つご紹介します。
教室の強み・独自性を知るための質問①

まず、1つ目の質問ですが、今回のご相談者の先生に当てはめてお伝えするなら、次の質問になります。
「他にもピアノ教室があるにも関わらず、当教室に入会することに決められた一番の要因は何でしたか?」
もう一度お伝えしますね。
「他にもピアノ教室があるにも関わらず、当教室に入会することに決められた一番の要因は何でしたか?」
こういう質問です。
実際にこの質問を書いた用紙をお渡しすると、生徒さんや保護者の方が回答してくださいます。
この質問の回答から分かるのは、まさに“先生の教室の強み”なんですね。
先ほどもお伝えしましたが、生徒・保護者の方たちは、数多くの選択肢の中から先生の教室を選んでいます。
だとするなら、他の教室よりも優れている点、または先生の教室にしかない魅力があったからこそ選ばれているわけです。
それを具体的に聞き出せるのが、この質問になります。
これが1つ目の質問です。
教室のベネフィットを知る質問②

そして2つ目の質問は、こちらになります。
「実際に通ってみて良かった点や、気に入っていることなどを教えてください。」
もう一度言いますね。
「実際に通ってみて良かった点や、気に入っていることなどを教えてください。」
この回答から分かるのは、先生の教室に通うことで得られる“ベネフィット”です。
ベネフィットとは、簡単に言うと「その教室に通うことで得られる良い変化、良い結果」のことです。
例えば学習塾であれば、最もわかりやすいベネフィットは“成績アップ”ですよね。
ところが、塾のチラシやホームページを見ると「個別指導」「一人ひとりに合わせた授業」などが目立って書かれていることがあります。
しかしそれは“特徴”であって、ベネフィットではありません。
本来のベネフィットは、「個別指導をすることで、生徒一人ひとりが着実に成績を伸ばせる」という部分なんです。
お客様は常にベネフィットを求めて購入します。
きれいな肌を求めて高級美容液を買う。
かっこいい自分になりたくてハーレーダビッドソンを買う。
それと同じです。
今回のご相談者の先生の教室に通うことで得られるベネフィット――それを“お客様の視点”で知ることがとても大切なんですね。
そのための質問が、先ほどお伝えしたものになります。
ぜひ、この2つの質問を既存の生徒さんや保護者の方に投げかけてみてください。
共通する回答が「理想の生徒像」を教えてくれる

すると、多くのケースで同じようなことが起こります。
それは、複数の生徒・保護者の方から“似たような回答が集まる”という現象です。
例えば1つ目の質問、「他にもピアノ教室があるのに、当教室を選んだ理由は何ですか?」という質問に対して、複数の方が「先生が保育士の資格を持っていて、個別に丁寧に指導してくれるから」という回答を寄せたとします。
そうすると、それは“他の教室にはない特徴”であり、先生の強み・独自性ということになります。
そして2つ目の質問の回答も、例えば次のような形で揃ってくる可能性があります。
「子どもをピアノに向かわせる声かけが上手で、集中して取り組ませてくれるところがさすが元保育士さんだと感じます。」
「子どもが先生のことを大好きで、『早く先生のところに行きたい』と言います。そのおかげで家でも練習をするようになりました。」
こうした声が複数寄せられたとしたら、それが先生の教室に通うことで得られる大きなベネフィットなんですね。
さらに言えば、同じような回答をしてくださった生徒・保護者の方たちは、実は“ある共通点”を持っていることが多いんです。
例えば、以下のような点です。
- 住んでいる地域
- お子さんの年齢層
- 保護者の性格や価値観
- 子育ての考え方 etc
こうした共通点を丁寧に洗い出していくと、それが“先生の理想的なお客様像(ペルソナ)”になる可能性が非常に高いんですね。
「ないと困る教室」になるという考え方

ここで少し話は変わりますが、2025年の「令和の米騒動」を思い出してみてください。
お米が不足して、価格が高騰しました。
それでも私たち日本人は“お米がないと困る”ので、高くても買いました。
なぜなら「なくては困るもの」だからです。
同じことが教室でも起きます。
先生の強み・ベネフィット・そして理想の生徒像が明確になると、その生徒さんたちにとって先生の教室は“ないと困る存在”になるんです。
だからこそ、多少レッスン料が高くても「通いたいです!」となるわけです。
私の経験上も、これは本当にその通りになります。
“ないと困る価値”があるから、選ばれるんです。
つまり今回のご相談者の先生が抱えている、「値下げしないと生徒が来ない」という状態から抜け出すことができるんですね。
ベネフィットは、どうやって伝える?

では、ここからどうやって理想の生徒さんに強みやベネフィットを伝えていけばいいのか?
それは、とてもシンプルです。
集めたお客様の声を、ホームページやブログ、SNSで紹介することです。
紹介することを考えたとき、インタビューよりも“書いていただいた声を記録として残すほうが良い”という理由がここにもあるわけです。
もちろん、インタビュー形式でお話を伺い、その様子をスマホなどで録画できれば、それも非常に良い方法だと思います。
録画した内容を書き起こして文章として活用することもできますし、動画そのものをホームページやSNSにアップできれば、より強いリアリティが生まれます。
実際の生の声を映像で届けることができるため、先生の教室の魅力がより説得力をもって伝わるでしょう。
ただ、聞きっぱなしにしてしまうと、時間がたつと忘れてしまいます。
ですから、どの方法であっても「記録として残す」ということが非常に重要になります。
その意味でも、もっとも手軽に残せるのが「書いていただく形式」なのかなと思います。
そして、いただいたお客様の声――つまり生徒さんや保護者の方の回答は、ホームページやチラシ、SNSなどに掲載することで大きな効果を発揮します。
お客様の声をそのまま使う強さ

おすすめは、いただいた声を“そのままキャッチコピーとして使う”ことです。
たとえば先ほど例として挙げた、「子どもをピアノに向かわせる声かけや、集中して取り組ませるところ、よく褒めてくださるところなどが、さすが元保育士さんだと感じます」という回答があったとします。
これをホームページの目立つ部分にそのまま掲載すると、とても強い訴求力になります。
ただし、あまりにも文章が長い場合は、チラシなどスペースの限られた媒体では全文掲載が難しいこともあります。
その場合は、一部を抜粋して使うだけでも十分効果があります。
このように実際のお客様の言葉をそのまま使うことで、私たち教室側が文章を加工するよりも、はるかに反応が良くなるんです。
なぜなら、リアリティがあるからです。
本当の声だからこそ、読み手に響くんですね。
さらに、別の活用法として「すでに通われている生徒・保護者の方は、このような感想を持っています」と紹介する方法があります。
ホームページの中にそのような見出しを作り、複数の感想を並べていくという形です。
SNSでも、同じように感想を並べた投稿を作ることができます。
多くの声が信頼を生む

その際、効果を最大化するポイントは「できる限り多くの声を掲載する」ことです。
1〜2件だけ掲載するよりも、10件・20件と掲載されている方が、これから教室を検討している方にとって信頼度が圧倒的に高くなります。
「こんなに多くの人が良いと言っているなら、信頼できそうだな」
「この教室なら、うちの子も良い経験ができるかも」
このような印象を強く与えることができ、結果として申し込み率(成約率)が上がっていきます。
ここまでの内容は、マーケティング的な観点から「お客様の声をどう集め、どう活用するか」をお伝えしてきました。
しかし、実は私が思う“お客様の声を集める最大の価値”は、別のところにあります。
それを次にお伝えしたいと思います。
自分の価値を再確認できる瞬間

私が最も良いと感じているポイント――それは「先生ご自身が、自分の価値や魅力を再確認できる」ということです。
先ほどのような質問でお客様の声を集めると、生徒さんや保護者の方から寄せられた感謝や評価の言葉がたくさん目に入ってきます。
そしてそれを見ると、本当に嬉しくなるんですね。
「ああ、この仕事をやっていて本当に良かった」
「こんな素敵な生徒さんや保護者の方に恵まれて、ありがたいな」
「これまで自分が積み上げてきたものは間違っていなかったんだ」
そんなふうに、自信や誇りを取り戻すことができるはずです。
価格は「自己評価」の結果である

私は長年、多くの教室の先生方を見てきましたが、教室ビジネスにおける“売上”や“生徒数”、つまり“お金”というのは、自己評価の数値化されたものだと感じています。
先生が自分を低く評価していると、どうしても金額にもそれが反映されてしまうんですね。
「価格」という言葉は「価値に見合う額」と書きます。
つまり、自分の価値を低く見積もれば、その価値に見合った金額しか受け取れなくなるということです。
だからこそ、お客様の声を集めることが大事なのです。
お客様の声を通して、先生にしかない価値や強みに気づき、感謝の言葉を受け取ることで、先生本来の“価値(=核)”を取り戻すことができます。
これは実際に体験していただければ、必ず分かります。
逆に、体験しないと実感しづらい部分でもあります。
値下げから抜け出すために、今すぐできること

ぜひ、お客様の声を集めてみてください。
そして、生徒さん・保護者の方から寄せられた言葉をじっくり読んでみてください。
そのとき、どんな感情が湧き、どんな感覚が芽生えるのか。
おそらく、「自分はすでに価値ある存在なんだ」、「魅力的な教室を作っているんだ」という確信が深まるはずです。
そうした実感が湧いてくると、「値下げをする必要なんてないよね」、「むしろ値下げする方がもったいない」、「通常の価格のままで来てくださるはず」という強い感覚が自然と生まれてきます。
さらに、自分の価値をしっかり認められるようになると、「これはもう値上げすべきでしょう」と感じることもあるかもしれません。
実際、こうして値上げに踏み切り、成功された先生もたくさんいらっしゃいます。
それくらい、「お客様の声を集める」という行動は、教室経営に大きなインパクトをもたらすのです。
ぜひ、先生がすでに持っている価値や魅力を、まずはご自身が再確認されてください。
そしてその価値を、これから世の中にもっと発信していってください。
その第一歩として、まずは生徒さん・保護者の方から“お客様の声”を集めること。
1人でも構いません。
今日から始めてみてください。
先生の教室のますますの発展を心から応援しています。
最後に:その答えは、すでに先生の中にある

最後に、冒頭でお伝えした問いかけについてもう一度触れたいと思います。
今回のご相談に対し、先生方であればどんなアドバイスをされるでしょうか?
そして、ご自身が同じ立場だったら、どんな行動を取るでしょうか?
実は、その答えこそが、先生ご自身の教室でも効果的に働くヒントであることが多いんですね。
「これ、自分の教室でも使えるかも」、「この方法、試してみよう」そう思われたアイデアがあれば、ぜひ実行してみてください。




