「値上げが怖い」を乗り越える!教室の月謝を高めに設定して理想の生徒が集まる理由

今回は、「教室の単価を上げて理想の教室を実現する」というテーマでお話をしたいと思います。

まず、私は2011年から、全国の教室の先生方に向けて、集客や経営に関するサポートを行ってきました。

その経験から特に、個人で教室を運営されている方や、先生の人数が10名以下といった小規模な教室の先生方には、できる限り一般的な相場よりも高めの単価を設定することをおすすめしてきました。

ここで言う単価とは授業単価のことで、つまり毎月の月謝を少し高めに設定するという意味です。

ではなぜ、小規模な教室では単価を高めに設定した方が良いのでしょうか。

その理由は非常にシンプルで、限られた生徒数でもしっかりと利益を確保できる仕組みをつくるためです。

それによって、教室経営を長期的かつ安定的に続けることができるようになります。

限られた生徒数でも利益を確保する仕組みづくり

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教室を構えて経営する場合、物理的に一度に受け入れられる生徒数には限りがありますよね。

さらに、小規模な教室の場合、教室スペースも比較的コンパクトなことが多く、広い空間を確保しているケースは少ないのではないかと思います。

また、先生ご自身が一度に対応できる生徒数にも限界がありますし、生徒一人ひとりにしっかりと満足してもらうには、丁寧な指導が必要です。

加えて、1日に受け持つことができるレッスン数やレッスン時間にも、どうしても上限があります。

もちろん短期的には、朝から晩までフル稼働することも可能かもしれません。

しかし教室経営はマラソンのようなもので、長く安定して続けるためには持続可能な働き方が求められます。

このように、個人や小規模の教室では、生徒数や時間の上限が自然と決まってしまいます。

つまりそれは、教室として得られる収入にも上限があるということを意味しています。

私がこれまで多くの先生方をサポートしてきた中でも、収入の上限に早く到達してしまうケースは少なくありませんでした。

経費と利益のバランスを保つための価格設定

教室を経営していく上では、当然さまざまな経費がかかってきます。

たとえば、教室の家賃、光熱費、そしてスタッフや他の先生方への人件費などがあります。

こうした経費をまかないながら、しっかりと利益を残すには、やはり授業単価を高く設定する必要があります。

そのため私は、可能な限り単価を高く設定してくださいと先生方にお伝えしているのです。

もちろん、「高い・安い」は地域や教室の内容によって異なりますので、明確に金額で示すことは難しい部分もあります。

ですが「高めに設定する」という意識を持って価格を考えることが大切だと考えています。

ここまでの話を聞いていただいて、「今の単価や月謝を値上げしたほうがいいのではないか」と思われた先生もいらっしゃるかもしれません。

実際、値上げを検討するときに不安を感じる先生は多いです。

たとえば「値上げをしたら生徒が辞めてしまうのではないか」「苦情が来るのではないか」といった心配ですね。

値上げへの不安は誰にでもある

私のクライアントの中にも、これまで何度か値上げを経験している先生がいらっしゃいます。

そしてその先生方は、毎回値上げの際にはやはり不安を感じていらっしゃるのです。

つまり、どんなに実績のある先生であっても、どのような教室の状況であっても、値上げには不安が伴うということです。

ですから「自分だけが不安なのではない」と思っていただけるだけでも、少し気持ちが楽になるのではないでしょうか。

ここで私が強調したいのは、これまで私が見てきた限り、値上げをしたことで経営が悪化した教室は一つもないということです。

もちろん、来月からいきなり2倍・3倍にするというような極端な値上げは現実的ではありません。

もし月謝を2倍や3倍にするのであれば、それに見合ったレッスン内容やサービスの提供方法も同時に大きく見直す必要があります。

その上で、生徒や保護者が納得し、満足していただけるのであれば、大幅な値上げも可能でしょう。

値上げで経営が悪化した教室はない

しかし今回の話は、基本的にレッスン内容はそのままで、段階的に値上げをしていくという前提でお伝えしています。

この場合、1回あたりの値上げ額は数千円の範囲内が現実的だと思います。

それでも、ある程度の生徒数がいる教室であれば、数千円の値上げでも全体の売上や利益には大きく影響してきます。

ですから、もう一度お伝えしたいのは、「値上げをして経営が悪化した教室は見たことがない」という点です。

むしろ、相場よりも安すぎたり、安易に値下げをしたことが原因で経営が苦しくなった教室は実際に存在します。

そう考えると、「値上げをした方が教室経営はうまくいきやすくなる」というのが私の実感です。

しかもその効果は、単に利益が増えるということだけにとどまりません。

ピアノ教室の事例紹介

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ここからは、実際に私がサポートしているクライアントさんの実例をご紹介したいと思います。

その方は、長年ピアノ教室を経営されている先生で、もう40年近く教室を続けていらっしゃいます。

私がその先生のホームページを作成し、集客のサポートを始めたのは2015年からですので、もう10年近いお付き合いになります。

その先生が「値上げしようと思っています」と最初におっしゃったのは、何年も前のことです。

正確な時期は記憶していませんが、それ以来、少なくとも3回は値上げをされています。

そしてそのたびに、教室の状況や経営のあり方が、先生ご自身の理想にどんどん近づいていると私は感じています。

その理想とはどういうものかというと、やる気があって前向きにピアノに取り組む生徒たちが集まり、楽しみながら長く通い続けてくれる教室ということです。

生徒が長く通ってくれるようになると、当然ながら集客に割く時間や労力も少なくて済むようになります。

その結果、先生は普段のレッスンに集中できるようになり、指導の質もより高めていくことができます。

保護者が決め手となるピアノ教室選び

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また、ピアノ教室のような子ども向けの習い事の場合、実際に通うのは子どもであっても、教室を探して申込むのは保護者であることが多いですよね。

つまり、親御さんが「この教室に通わせたい」と思うかどうかが大きな決め手になります。

そのため、時には子ども本人はあまり乗り気ではない状態で体験レッスンに来ることもあります。

ですが、レッスンを通して子どもが楽しさを感じ、「もっと弾けるようになりたい」「もっと上手になりたい」と変化していくことも珍しくありません。

とは言え、現実的に考えると、入会の時点でお子さん自身が「ピアノが大好き」「ピアノを習いたい」「上手になりたい」「先生のレッスンが楽しい」といった、主体的な気持ちを持っている場合と、「自分からやりたいわけではないけれど、親に連れてこられた」というお子さんとでは、やはり成長の速度や成果に差が出てくると思うんですよね。

それでですね、先ほどから紹介しているクライアントさんのピアノ教室でも、以前は「親御さんが習わせたい」という理由で、お子さん自身にはそこまで習いたい意欲がないというケースがあったそうなんです。

主体的に習う子と“連れてこられた子”の違い

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そのような“連れてこられたタイプ”のお子さんたちには、共通点があったそうなんですね。

大きく分けて2つあるそうです。

  • 1つ目は、「通ってはいるけれど、なかなか上達しづらかった」ということ
  • 2つ目は、「ご家庭で使用しているピアノが電子ピアノだった」ということ

これは、もしかしたらその教室だけの傾向かもしれませんが、そうした共通点が見られたとのことです。

1つ目の「上達しづらい」という点に関しては、やはりお子さん自身が「ピアノが好きだから習いたい」と思って始めたわけではないので、ピアノが好きな子と比べて自宅での練習時間が短くなりがちなんですよね。

習い事というのは、やはり上達と練習量にはある程度の相関関係があると思います。

練習量が多ければ上達しやすい傾向があり、逆に練習量が少ないと上達はしにくい、というのはあると思います。

なので、自宅での練習時間が短いという傾向が見られるのも当然のことかもしれません。

“続かないかもしれない”という前提がもたらす影響

2つ目の「電子ピアノを使用しているご家庭が多かった」という点ですが、これももちろん、ご家庭によってさまざまな事情がありますよね。

スペース的にグランドピアノが置けないとか、マンションなどで音の問題があるとか、そうした理由もあるでしょう。

ですので、電子ピアノの選択はやむを得ないというケースももちろん理解できます。

ただ、ここで少しシビアな見方をすると、そもそも「グランドピアノやアップライトピアノを買っても、もし続かなかったらどうしよう」といった不安が背景にある場合が多かったそうです。

グランドピアノやアップライトピアノは価格も高いですから、それを買って結局続かなかったら無駄になる、という心配も当然ありますよね。

そのため、比較的価格を抑えられる電子ピアノを選ばれるという判断も理解はできます。

しかし、その「続かなかったらどうしよう」という気持ちは、裏を返せば「続かないかもしれない」「ピアノを好きにならないかもしれない」という前提で物事を考えているということにもなりますよね。

つまり、ピアノを始める時点で、やや主体性が欠けているとも言えるかもしれません。

保護者の協力と主体性の関係

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さらには、「もしかしたらすぐやめるかも」、「向いていないかも」というネガティブな前提があると、保護者の方のサポート体制もやや弱くなってしまう印象があります。

逆に、ピアノに意欲的に取り組む生徒のご家庭では、親御さんも協力的であることが多いと感じます。

ここで言う「協力的」とは、「家で常に子どものレッスンを見てあげてください」という意味ではありません。

お子さんが楽しんでピアノに向かえるような環境を整えたり、前向きな声かけをしたり、先生とのコミュニケーションを取ったり、そういった関わり方のことです。

一方で、主体性や「やるぞ!」という意欲に乏しいお子さん、あるいはご家庭の場合、少し厳しい言い方になりますが、リスクヘッジとして電子ピアノを選ばれている傾向もあるように感じます。

そのような前提のもとでレッスンがスタートするので、やはり自宅での練習もあまり行われず、思うように上達しないというケースが出てくるわけです。

「通わせてはいるけれど、毎月月謝を払っているのに、なかなか上達しない」

そうなると、保護者としても「これでは通わせている意味がないのでは」と感じ始めるのも当然かもしれません。

そして、ちょうどそんな思いが保護者の中でくすぶっているタイミングで「レッスン料を値上げします」と言われたとき、それが最後の後押しになって退会につながる、というケースがあります。

値上げをきっかけに見えてきた本質

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ここで大事なのは、値上げのタイミングで退会される方々は「値上げを理由に辞めた」ように見えても、実はその前から「どうしようかな」と悩んでいたことが多い、という点です。

つまり、最終的なきっかけが「値上げ」であって、根本的な原因ではない、ということですね。

今回紹介している僕のクライアントさんの教室でも、初回の値上げ時には実際に数名の生徒が退会されたそうです。

その退会された方々は、先ほどお話ししたような、上達がやや難しく、ご家庭で電子ピアノを使用しているご家庭の生徒さんが多かったとのことです。

ですが、ここからが興味深い点なのですが、初回の値上げ以降は、生徒が「値上げを理由に辞めた」というケースはなかったそうです。

つまり、最初の値上げの際に辞めたのは、いわゆる“連れてこられたタイプ”の生徒さんだったということ。

逆に言えば、主体的・意欲的にピアノに取り組んでいた生徒さんたちは、そのまま継続してくださったということなんです。

そして、退会によって空いたレッスン枠には、既存の生徒さんの保護者から「週2回通わせたいのですが」などの申し出が入るようになったそうです。

ピアノ版“夏期講習”が生徒を育てる

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また、夏休みや冬休みなどの長期休みに「集中的にレッスンを増やしてもらえませんか?」といったご相談も出てきたとのことでした。

なので、それをきっかけにこちらの教室では、今では夏休みや冬休み、春休みといった学校が休みの期間に、集中レッスンを行っていらっしゃるんですよね。

それは、塾で言えば、夏期講習や冬期講習のようなものです。

ピアノ教室でもそれを取り入れて、短期間に集中的にレッスンを行ったことで、非常に意欲的な生徒たちが育ってきたんです。

そうなると、当然ながらレッスン時間が今まで以上に増えるわけですから、生徒さんたちの演奏力は自然とレベルアップしていきますよね。

その結果として、その教室の生徒たちが、いろいろなコンクールで入賞し始めるようになったんです。

もちろん、それまでもコンクールで入賞する生徒はいたそうなんですが、それに拍車がかかるように、どんどん入賞者が増えていったそうなんですよね。

コンクール金賞者!そして新聞取材も

そして、ピアノのコンクールの中でも、国際的に有名な「ショパンコンクール・イン・アジア」という大会があります。

その先生の教室の生徒の中に、たしか当時小学校5年生の男の子だったと思うんですけれども、そのコンクールで金賞を受賞されたそうなんです。

金賞というのは、つまり1等賞ということですよね。

しかも「イン・アジア」という大会ですから、アジア中のピアニストの中で、もっとも素晴らしい演奏をしたという評価を受けたということになります。

さらに、この快挙は、その先生の教室がある地域では初めてのことで、過去に例がなかったそうです。

そこで、地元の新聞社から「ぜひ取材させてほしい」と依頼が入り、取材を受けられました。

「〇〇ピアノスクールの〇〇さん(小学校5年生)、ショパンコンクール・イン・アジアで金賞受賞」といった記事が、地元紙に掲載されたそうなんです。

遠方から通うほどの人気教室へ

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そうすると、やはりメディアの力は大きいですね。

その新聞を見たという方から、「ぜひ、うちの子どもも指導していただけないでしょうか」という問い合わせの電話が入ったそうなんです。

しかも、その方に詳しく話を聞いてみると、どうやらお隣の市町村にお住まいの方だったそうなんです。

先生の教室に通うために、なんと車で高速道路を使って、片道40分〜50分かけて通いたいとおっしゃったそうなんです。

これは、ピアノ教室としてはなかなか考えられないことではないかと思います。

というのも、ピアノ教室というのは、主に子ども向けの習い事教室ですから、たいていは自転車で通える範囲を商圏とするのが普通ですよね。

にもかかわらず、その新聞記事を見て「うちの子もぜひ」と、遠方から車で高速道路を使ってでも通いたいというご家庭が出てくるようになった。

そういった非常に意欲的なご家庭も、集まるようになってきたわけです。

こうした変化や成果を経て、その先生は数年おきに少しずつ月謝を値上げしてこられたそうです。

自発的に挑戦する生徒が育つ環境

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現在では、本当に意欲的な生徒たちが集まり、何年にもわたって努力を重ねた結果、教室の生徒たちが数々のコンクールで入賞を果たすようになりました。

その地域のコンクールだけでなく、近隣の他の地域で開催されているコンクールにも出場し、入賞して帰ってくるという生徒が何人もいるそうなんです。

ちなみに先生ご自身は、「コンクールに出なさい」とは一切強制されていません。

もちろん、先生としては、コンクールへの出場は演奏力の向上につながるとお考えですし、それだけではなく、本番で実力を発揮する経験は、将来の高校受験や大学受験など、プレッシャーのかかる場面でも大いに役立つという信念をお持ちです。

だからこそ、「こういうコンクールに出てみたらどうですか?」といった勧めはされるものの、実力をもとに「あなたはこのコンクールに出場しなさい」と命令するようなことは一切なさらないんですね。

では、実際どうなっているのかというと、生徒や保護者の方たちが、自らコンクールを調べて、自発的に申し込みをしているんです。

しかも、こうした自発的な生徒・保護者が、こちらの教室には何組もいらっしゃる。

ですから、コンクールが他地域で開催される際は、ちょっとした「遠足気分」で親子で参加されているんです。

コンクールで演奏を終えた後は、出場したご家庭同士で、近くのレストランやカフェで食事をしながら楽しい時間を過ごし、交流を深めて帰る。

そんな風に、イベントとして楽しんでいらっしゃるそうです。

とにかく皆さん、コンクールそのものを「楽しんでいる」という状況なんですね。

それでいて入賞もして帰ってくるわけですから、本当に素晴らしいですよね。

教える側も楽しめる、理想のピアノ教室へ

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とはいえ、先生ご自身は、生徒に付き添ってコンクールに同行するということは、基本的にされていません。

現実的に、全員に付き添うのは難しいですし、それぞれがいろいろなコンクールに出場されているため、それは不可能です。

それでも、生徒たちは自主的に出場し、結果を出して帰ってくる。

そういう意欲的な生徒たちが集まってくる教室ですから、先生としてもレッスンが本当に楽しいとおっしゃっていました。

前向きにピアノを楽しんでいる生徒さんたちが集まっているというのは、教える側としても嬉しいですよね。

やはり、やらされ感のある生徒さんや、練習にあまり取り組まない生徒さんが多いと、同じレッスン時間でも全く違ってきます。

教える側のやりがいや、楽しさ、そして疲労感まで違ってくるものだと思います。

現在は本当に意欲的な生徒さんや、協力的な保護者の方々とともに、先生ご自身もレッスンを楽しみながら、充実した毎日を送っていらっしゃいます。

これが、今回ご紹介しているピアノ教師の先生の現在の姿なんですね。

主体的な生徒と保護者が集まる教室へ変化

 

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ただ繰り返しますが、この先生も最初から主体的・意欲的な生徒や保護者ばかりだったわけではありません。

しかし、「月謝の値上げ」をきっかけに、理想的な教室運営、理想的な生徒・保護者の集まる教室へと変化していったのです。

ですから、この「値上げ」という決断こそが、教室経営における転機、つまり“すべてを変えるきっかけ”になったと私は思っています。

値上げは、理想的な教室づくりに向けて踏み出す第一歩。

より良い方向へと教室を進化させる、大きな転換点だったのではないでしょうか。

たとえば、生徒数についてですが、値上げをする以前と比べると、人数としては減っているんですね。

しかし、これまでに何度か段階的に値上げをされてきたことで、月謝単価が上がっており、生徒数は減っているものの、教室全体の売上や利益は増えているんです。

これは別の見方をすれば、先生の労働時間は減ったのに、利益は増えたということが言えると思います。

値上げがもたらした経営と生活の好循環

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さらに、今回ご紹介している先生の場合、一時期、ご家族3名の方の介護を同時に担っていらっしゃったこともあったそうなんです。

もちろん、実際には先生お一人で家族全員の介護を行うのは難しいですから、介護施設や専門職の方のサポートも受けていたそうです。

ただ、そういった介護施設を探したり、外部の方に依頼をしたりするためには、それなりに手間も時間もかかりますよね。

そして実際に依頼をすれば、当然ながら費用も発生します。

ですから、そうした手間や時間、費用といったリソースを確保するには、四六時中レッスン漬けという状態では成り立ちません。

また、先生ご自身がご家族の介護を大きく担っていたという状況もあったため、先生ご自身が体調を崩すわけにもいかなかったんですね。

そういった背景を踏まえても、先生はできるだけ労働時間を抑えつつも、しっかりと利益を確保できる教室運営をする必要があり、それを「値上げ」によって実現されてきたわけです。

このように、値上げが結果的に「仕事と介護の両立」を可能にしたのだと思います。

そう考えると、やはり値上げは必要な判断だったと、私は思いますね。

値上げがもたらす生徒層の変化

さらにもう少しお伝えすると、この「値上げ」というのは、単に売上や利益に影響を与えただけでなく、教室に集まる生徒さんたちの“タイプ”──つまり性格や価値観にも変化をもたらしたようなんです。

これは誤解のないようにお伝えしたいとは思うのですが、料金を安く設定すれば、その分レッスンを受けやすくなりますから、生徒は集まりやすくなります。

ただし、そうして集まった場合、「この価格ならまあ、上達できなくてもいいか」という価値観を持った生徒さんや保護者の方が集まりやすくなる傾向があるんです。

もちろん、全員がそうというわけではありませんが、一般的な傾向として、安価なレッスンを求める方は、「価格ありき」で教室を選ぶことが多いと感じています。

そうした方々は、より安い教室が見つかれば、そちらに移ってしまったり、継続率が低くなる傾向も見られるように思います。

高単価設定が理想の教室経営を導く

もちろん、どのような教室を目指すかというのは、先生お一人おひとりによって異なります。

理想とする教室の姿もさまざまですし、「値段が高ければ良い」「安ければ悪い」といった単純な話ではありません。

ただ、今回の最初の方でお伝えしたように、限られた生徒数でもしっかりと利益を確保しながら、長期的かつ安定的に、理想の教室を運営していきたいとお考えであれば、授業単価や月謝を、やや高めに設定されることをおすすめします。

それは、繰り返しになりますが、単に利益やキャッシュフローを良くするというだけでなく、先生のやりがいや喜びが、かけた労力に見合った形で返ってくるようになるからです。

そういった意味でも、授業単価やレッスン料金を適切に設定することが、理想の教室運営に近づく大きな一歩になると考えています。

この内容が、少しでも先生方の教室運営のヒントになれば嬉しく思います。

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