教室経営をしていると、「もっと魅力をうまく伝えたい」「生徒数を増やしたい」と感じること、ありますよね。
実は、そのヒントはすでに通ってくれている“生徒の声”の中に隠されているのです。
今回は、アンケートを活用して生徒の声を集め、それを教室運営や集客に生かす具体的な方法についてお話しします。
「生徒の声」は万能薬
「生徒の声を教室運営に生かす方法 〜アンケート活用術〜」というテーマで、お話ししていきたいと思います。
ここで言う“生徒の声”とは、いわゆる「お客様の声」と呼ばれるものですね。
この「お客様の声」というのは、マーケティングの世界では「万能薬」と言われることもあります。
実際に生徒の皆さんからの声、つまりお客様の声を集めることで、先生ご自身が教室の強みを再認識できたりします。
また、生徒の声に書かれた言葉を、そのままキャッチコピーとして使うこともできるんですね。
しかも、そのコピーを使った際の反応が非常に良いということがよくあります。
さらに、生徒の声をホームページやSNSなどで紹介すると、それによって教室の“訴求力”が高まってきます。
その結果として、入会やお問い合わせといった反応も、格段に増えてくるんです。
やりがい・感謝・モチベーションアップにも
加えて、実際に教室に通ってくださった方が寄せてくれる感想というのは、読むだけでとても嬉しいものです。
そもそも感想を書いてくださる時点で、ほとんどの方が好意的で、感謝の気持ちを表現してくださいます。
わざわざ時間をかけて感想を書いてくれるという行為そのものがありがたいですし、そこに込められた言葉には温かさがあります。
そうした感謝の言葉に触れると、「この仕事をやっていてよかったな」と、やりがいやモチベーションを感じることもあります。
また、生徒の方々への感謝の気持ちも自然と湧き上がってきて、「もっと頑張ろう」と思える活力源にもなるんですよね。
アンケートから見える「業績との相関」
このように、多くのプラス効果が期待できるので、私はクライアントである先生方に対して、サポートを開始する初期段階で、私が作成したアンケートシートをお渡ししています。
それを使って、生徒の皆さんの声を集めていただくようにしているんです。
実際にアンケートを回収してみると、面白いことが分かってきます。
どういうことかと言いますと、アンケートの回収率が高かったり、回答に協力してくださる生徒さんの数が多かったり、また、アンケートの配布から回収までがスピーディだったり、回答の内容が一言・二言ではなく、具体的で長文だったりする教室ほど、業績が良い傾向があるんです。
こういった傾向は、長年にわたって先生方をサポートしてきた中で、だんだんと見えてきたものです。
そして、生徒の皆さんの声を集める際には、今回のテーマでもある「アンケート形式」が、最も集めやすい傾向があります。
時間を取ってインタビューをするよりも、アンケートをお渡ししてご記入いただく方が、断然集まりやすいんですね。
そこで今回は、私が実際にクライアントの先生方に提供しているアンケートシートの質問項目の一部を、ご紹介したいと思います。
実際のアンケート質問例を紹介
このアンケートシートには、いくつかの質問項目が用意されています。
それぞれの質問には、「質問の意図」が明確にあります。
例えば、お客様の悩みを知るための質問。
または、集客経路を知るための質問。
このように、目的別に質問が分かれているんです。
その中から今回は、私が最も重要視している質問を1つご紹介します。
それがこちらの質問です。
「他にも似たような教室があるにもかかわらず、当教室を選ばれた一番の決め手は何でしたか?」
もう一度繰り返しますね。
「他にも似たような教室があるにもかかわらず、当教室を選ばれた一番の決め手は何でしたか?」
この質問から分かること、つまりこの質問の意図は何か。
それは、先生および先生の教室の“強み”を明確にすることなんです。
「強み」を見つけて活用しよう
多くの場合、お客様は複数の教室を比較・検討した上で、最終的にどこかを選んでいます。
その中で、「ここだ」と決めてもらえたということは、先生の教室にしかない何かを感じていただけたということです。
あるいは、他と比べて明らかに優れていると判断してもらえたということでもあります。
つまり、生徒の皆さんが先生の教室を選んだ理由には、明確な「強み」があるんです。
この強みとは、「独自性」の場合もあれば、「優位性」を示している場合もあります。
そういったものを総称して、私は「強み」と呼んでいます。
その“強み”が明確になれば、それをホームページやSNS、チラシなどにしっかりと表現することができるようになります。
そうすることで、確実に今までよりも訴求力が高まり、結果としてお問い合わせや入会といった成果につながりやすくなっていくのです。
そこで、その先の質問ですね。
「キャッチコピー化」も狙える質問
その質問への回答というのは、実際に「強み」が分かるだけではなくて、それを的確に“表現する”ことにもつながっていくんですよね。
どういうことかというと、先ほどの質問、「他にも似たような教室があるにもかかわらず、当教室を選ばれた一番の決め手は何でしたか?」という質問。
その質問に対して書かれた回答、それをそのままキャッチコピーに使える場合があるんです。
これは実は、よくある手法なんですよね。
で、それをどこで見かけるかというと、通信販売の世界でよく見かけるんです。
その代表的な例を挙げると、テレビCMなどでも見かけたことがある方が多いんじゃないかと思うんですが、「通販生活」という通信販売の雑誌がありますよね。
「通販生活」という雑誌のCMを見たことがあるという方もいらっしゃるかもしれません。
「通販生活」という雑誌は、いろんな商品を紹介している、いわばカタログなんですよね。
けれどただのカタログではなくて、それぞれの商品について、実際に使用している有名人や芸能人が、その商品の魅力を語っているんです。
編集者が、その商品を実際に使っている有名人・芸能人のところに出向いて、商品の魅力についてインタビューを行います。
そして、そのインタビュー内容を文字起こしして、雑誌に掲載しているんですね。
さらに、その有名人や芸能人の発言の中から、印象的な言葉を抜き出して、ページの大きな見出し、つまりキャッチコピーとして掲載しているんです。
通販生活の売れる仕組みに学ぶべきこと
ちなみに、この「通販生活」という雑誌が創刊されたのがいつ頃なのか、正確には存じ上げませんが、かなり昔から発売されている雑誌です。
通販カタログの「老舗」と言っても過言ではないと思います。
しかも、「通販生活」は、時折テレビCMを継続的に流していたりもします。
それらを踏まえると、もう長い年月をかけて、印刷代や広告宣伝費に多額の費用をかけてきたことは間違いないでしょう。
そして、その取り組みを何十年も続けられているということは、「通販生活」のカタログで紹介されている商品が相当売れているということの証明でもあると思うんです。
つまり、「通販生活」という雑誌は、有名人・芸能人の言葉をキャッチコピーとして見出しに大きく掲載しており、それが創刊当初から変わらないスタイルとして継続されているんですね。
これは、「売れるスタイル」だからこそ続けられているということになります。
つまり、「お客様の声」が売上を伸ばす効果が高いという証明でもあると思うんです。
生徒の声を聞こう
ちょっと話がそれてしまいましたが、これを教室に置き換えて考えてみるとどうなるか。
つまり、すでに通っている生徒さんたちの感想や声を集めて、それをホームページなどでキャッチコピーとして使っていくと、やはり反応が上がってくるわけです。
ですから、できるかぎり、すべての生徒さんに、今回ご紹介しているような質問をぜひ投げかけていただきたいと思うんですね。
実際にそういう取り組みをしていただくと、面白い結果が出てくると思います。
というのも、同じような回答を何人もの方がされるケースが必ず出てくるんですよ。
そのように、複数の生徒さんが同じ回答をされた場合、それは先生、つまり教室側の「強み」である可能性が非常に高いということなんです。
ピアノ教室の先生の実例
実際のケースをご紹介しますと、ピアノ教室の先生で、私のクライアントの方がいらっしゃいました。
その先生は当時、生徒数が年々減少してしまっていて、お困りの状態だったんですね。
そこで、私にご相談いただく前に、ご自身でホームページ制作会社に依頼して、ホームページの制作をされたそうです。
そして、そのホームページで、毎日のようにブログを書いて、教室のPRをされていたとのことでした。
そのような取り組みを、およそ6ヶ月間、継続的に行ってこられたそうなんですね。
では、その取り組みの結果がどうだったかというと、毎月1〜2件程度の問い合わせはあったものの、入会にはつながらなかった、ということだったそうなんです。
そういうタイミングで、僕にご相談いただきまして、まず最初に行ったのがアンケートの実施でした。
するとですね、複数の生徒の保護者の方々から回答をいただけたんです。
そのピアノ教室は、ほとんどの生徒さんが子どもだったため、保護者の方にアンケートにご協力いただきました。
すると何人もの方が、非常に似たような回答をされたんです。
アンケートから見えてきた「教室の強み」
その内容というのは、ざっくり言うとこんな感じでした。
「以前は大手の音楽教室に通っていたのですが、そこは一斉レッスンだったので、時々子どもがレッスンについていけなくなってしまい、かわいそうに思っていました。でも先生の教室は個人レッスンなので、いつも子どものペースに合わせて指導してくださって、大変助かっています。」
このような回答が、何人もの保護者の方から寄せられたんですね。
つまり、そこで見えてきたのは、その先生の教室の強みは「個人レッスンであること」そして「生徒のペースに合わせたレッスンが受けられること」だったということです。
それが、その教室の“強み”であり、“選ばれる理由”だったんですね。
キャッチコピーで成果が激変
そこで、そのアンケート結果を受けて、僕が少しアレンジを加えて、先生のホームページにキャッチコピーを追加しました。
そのとき付け加えたのが、たとえばこんなコピーです。
「寄り添い、励ます個人レッスン。生徒のペースに合わせて丁寧に指導します。体験レッスン受付中。」
これは、ほぼそのまま保護者の方々からいただいた声を活かしつつ、ホームページ用に整えて掲載したものです。
要するに「個人レッスンであること」を前面に打ち出して、強みをしっかり伝えたんですね。
するとどうなったか。
なんとそのキャッチコピーを掲載した翌月に、10名の方が新たに入会されたんです。
これが、「強みを認識し、的確に表現すること」の効果なんですよね。
教室経営における“究極の質問”
ですから、今回のピアノ教室の先生に限らず、僕のクライアントさんには、必ずこのようなアンケートシートを生徒さんや保護者の方に配ってもらっています。
そしてその回答をもとに、教室の強みをしっかりと言語化し、それをホームページやチラシなどで表現するようにしています。
それによって、反応率や集客力がぐっと上がるんです。
以上のような理由から、アンケートの質問項目はいくつかありますが、今回ご紹介した質問は僕の中では「これは教室経営における“究極の質問”だ」と思っているんですね。
「他にも似たような教室があるにも関わらず、なぜ当教室を選ばれたのですか?その一番の決め手は何でしたか?」
もし、記憶が全部なくなっても、1つだけ質問を覚えていていいと言われたら、僕は迷わずこの質問を選びます。
ですので、ぜひこの文章をご覧の先生方も、生徒や保護者の方に、この質問を投げかけてみてください。
必ず教室の強みが見えてきて、それを伝えることで、結果にもつながってくると思います。
もう一つの観点:「生徒の声」の重要性
さらにもう一つ、別の観点から「生徒の声」を集める効果や重要性についてお伝えしたいと思います。
近年、その必要性や重要性がますます高まってきているんですね。
それはどういうことかというと、特にネット集客において「生徒の声」が非常に重要になってきているんです。
具体的には、「Googleマイビジネス」というサービスが注目されるようになってきているのをご存知でしょうか?
この「Googleマイビジネス」は、先生ご自身の教室をGoogle上に登録できる無料のサービスです。
まずは、このGoogleマイビジネスに教室の情報を登録していただくことになります。
そして、登録することで、Google検索とは別に存在する「Googleマップ」というサービス上にも、先生の教室が表示されるようになるんですね。
Googleマップは、多くの方が利用されたことがあると思いますが、特定のキーワードを入力すると、それに関連性の高いお店や施設が地図上に表示されるサービスです。
さらに、そのお店までの経路や所要時間なども調べることができる便利な機能が備わっています。
Googleマップ上位表示のカギはレビュー
実は、ここ数年の間に、このGoogleマップの検索結果が、通常のGoogle検索の結果にも一部表示されるようになってきているんです。
たとえば、「ピアノ教室」や「英会話教室」などのキーワードで検索すると、検索結果の中にGoogleマップが表示され、その中で登録されている教室の上位3つが同時に表示されるようになっています。
つまり、Google検索の検索結果に、Googleマップが表示されるようになってきたということです。
そうなると、Googleマップ内で先生の教室が上位に表示されることが、とても大事になってきます。
というのも、Google検索では、Googleマップに登録された情報のうち、関連性が高い上位3つの教室(または店舗)しか表示されない仕組みになっているからです。
ですので、この「上位3つ」に表示されるようにする対策が重要になってくるのです。
では、その上位表示のために、今もっとも効果があると言われているのが何かというと、「レビュー(口コミ)」なんですね。
高評価レビューの力
レビューとは、実際に教室を利用された方が、その体験をもとに5段階の星評価とコメントを投稿できる機能のことです。
飲食店や美容院などでもよく見かける機能ですね。
実際にさまざまなキーワードで検索してみると分かるのですが、Googleマップで上位に表示される教室や店舗は、レビューの評価が高く、かつ件数も多い傾向にあります。
よく考えてみると、それは当然のことだと感じると思います。
評価が高くて、かつ多くの人がレビューを投稿しているお店というのは、それだけ多くの人から信頼され、支持されているという証でもあります。
反対に、まったくレビューがついていないお店や教室の場合は、Google側としてもおすすめしづらいというのが現実です。
ですから、Googleマップ上で上位表示を狙うためには、できるだけ多くの方に高評価のレビューを書いていただくことが非常に重要になってきます。
これを教室運営に置き換えてみると、すでに通ってくださっている生徒さんやその保護者の方にレビューをお願いする、という形になります。
そうすることで、レビューの件数を少しずつ増やしていくことができるようになります。
そして、長く通ってくださっているような信頼関係のある生徒さんであれば、わざわざ低評価をつけることは考えにくいですし、むしろ好意的な高評価を寄せてくださる可能性が高いですよね。
そうなってくると、教室の評価自体が上がり、Googleマップ上でも目立ちやすくなるというわけです。
実際の成果と今後の可能性
ですから、最近のネット集客では、「生徒の声」をたくさん集め、それをGoogleマップに投稿してもらうことで、集客力を強化することにつながっていくんです。
僕のクライアントさんの中には、実際にGoogle検索をしたときに、Googleマップに表示され、しかもそのGoogleマップ上で上位3位以内に入っている先生が何人もいらっしゃいます。
そして、その方たちの中でも、やはりレビューの数が増えてくると、実際に体験や入会申し込みの数も増えてきているんですね。
しかも、その教室に来られた方が「Googleマップを見ました」とか、「Googleマップで見かけて、評価が高かったので来ました」といったことを実際に言われるんです。
中には、「Googleマップに書かれていたレビューに、こういうことが書かれていて、それが決め手になりました」と、具体的なレビューの内容にまで言及されるお客様も出てきています。
ですから、そういう意味でも、生徒の声というのは非常に訴求力のあるメッセージになりますし、近年であれば、Googleマップのように多くの人の目に触れるメディアに掲載されることで、より一層、集客の強化にもつながってきているわけです。
生徒の声が持つ訴求力と集客効果
このように、生徒の声は、今やますます重要なものになってきていると思います。
本当に、教室運営には欠かせない要素だと言えるでしょう。
そして、実際にお客様に質問をしてみることで、自分たちの教室の強みが明確になる、ということもあるんですね。
つまり、私たち教室経営者、あるいは先生側が「知りたい」と思っていることの答えは、実はすでにお客様が持っていらっしゃるんです。
これは、いつの時代も変わらない普遍的なことだと思います。
答えは、すべてお客様の中にあるんです。
だからこそ、私たちが教室経営において何か知りたいこと、あるいは解決したいことがあるときには、その答えを引き出すための「適切な質問」を行うことができれば、理想の教室経営の実現に大きく近づいていけるはずです。
ということで、ぜひ今回の内容を参考にしていただいて、「生徒の声」を教室運営に活かし、先生ご自身の理想の教室経営の実現に、一歩一歩近づいていただけたらと思います。
まとめ
生徒の声は、教室の強みを明確にし、魅力を効果的に伝えるための最強のツールです。
アンケートを通じて集まった言葉は、キャッチコピーやPR素材にもなり、信頼感と訴求力の向上につながります。
まずは一歩、質問項目を工夫したアンケートを作成し、生徒の率直な声を集めてみましょう。
そこから、教室が選ばれる理由が自然と見えてくるはずです。