「私は、音大で学んでいませんし高い演奏スキルがあるわけではありません。なので、そんな私のレッスンに高い金額をいただくのが心苦しいです」
先日、ある音楽教室の先生からご相談をいただきました。
こちらの先生は、もともとご自身が小さいころから音楽教室に通っておられました。
そして、そのスキルを活かして、現在は週末にBarなどで演奏活動をなさっているのだとか。
ママ友に頼まれてはじめた教室
教室をはじめたきっかけは、先生のママ友からお子さんにレッスンをして欲しいと依頼されたのだそうです。
それが今では、30名近くの生徒さんを抱えておられるそうなんですね。
しかし、もともとは先生ご自身は趣味の延長的に教室を捉えておられました。
そのため、当初は実費程度でレッスンをされていたそうです。
ただ、生徒さんの数が増えると個々の対応なども増えます。
そのため、少しずつお月謝を見直して来られたそうです。
そして今では、近隣の教室の相場より少しお安めのお月謝なのだそうです。
しかし、ご本人としてはこれ以上の値上げが難しいとのこと。
その理由が、冒頭のセリフだったんです。
「私は、音大で学んでいませんし高い演奏スキルがあるわけではありません。なので、そんな私のレッスンに高い金額をいただくのが心苦しいです」
演奏力=価格?
では、例えばなんですが、この先生は仮に今からでも音大を卒業すれば値上げできるでしょうか?
できるかもしれないですし、できないかもしれません。
当たり前の意見ですね、すみません(苦笑)。
ただ、僕の経験から申し上げますと、こちらの先生の場合、音大を出ていないのが問題ではなくご自身の価値を低く見積もっておられることが問題の本質なんですね。
そして、ご自身の価値の低さを正当化する理由として「音大を出ていない」を挙げておられるんです。
だって、もしそれが正しいとしたら、音大出身の先生はみなさん高額のレッスンをしてることになりますよね。
でも、実際はそうじゃないんです。
音大を出ておられて、何十年とキャリアのある先生でもレッスン料を値上げできずにお困りの先生っておられるんです。
なぜ、そう言えるか?というと、そういう先生が僕にご相談くださるからです。
受賞歴=価格?
そして、そのような先生の中には、こんな感じのことをおっしゃる方もおられます。
「私は、コンクールでの受賞実績もありませんし、高い演奏スキルがあるわけではありません。なので、そんな私のレッスンに高い金額をいただくのが心苦しいです」
なんか、聞いたことありますね(苦笑)。
つまり、ご自身の価値を低く見積もると、どこまでも果てしなく自分の価値が低い理由を見つけることができるんです。
ちなみに僕は、すべての先生に「高額レッスンをしてください」とお伝えしているわけではありません。
あくまで、先生の価値を先生ご自身に正当に評価していただきたいと思っています。
その結果、価値に見合うレッスン料が今より高くなるケースがあるんです。
世界一売れたアーティスト=世界一歌が上手い?
一番大切なことは、ご自身の価値をご自身で認めていただくということ。
また、別の見方をすればもっとも演奏スキルが高くて、もっとも受賞実績が輝かしい方が、もっともレッスン料の高い先生なのでしょうか?
もしくは、世界で一番CDが売れたアーティストは、世界一歌が上手いのでしょうか?(もちろん、上手いとは思いますが)
CDセールスランキングとは、歌の上手な人ランキングなのでしょうか?
そんなことないですよね。
歌はそこまで上手いとは言えないけど、歌詞がストレートに突き刺さる。
なぜか、心にすーっと入って離さない独特な世界観がある。
こういった方の曲も、たくさんの方に聴かれていますよね。
これは、教室ビジネスも同じだと僕は思います。
価値は誰が決めている?
国家資格が必要な場合をのぞいて、資格や学歴、スキルだけが先生の価値ではありません。
先生には、先生にしかない価値が必ずあります。
それからですね、また別の見方をしますと、こと集客に関して言えば「価値のある・なし」はお客さまが決めるものでもあります。
どれだけ最高峰の学歴があっても、最高峰のスキルがあっても、お客さまがそれを求めなければレッスンを受けてもらえません。
つまり、そこにお客さまが価値を見出しておられないわけですよね。
だとするならば、私たちは常日頃から生徒さんが先生のレッスンの“何に”価値を感じておられるのか?を客観的に認識することが大切です。
先生にしかない価値を見出す
はじめに紹介した、音楽教室の先生のご相談に話を戻したいと思います。
僕は、この先生にこう伺いました。
「先生の教室の近くには、他にも音楽教室があると思います。にも関わらず、生徒さんたちはなぜ、先生の教室を選ばれたんですか?」
この質問は、これまでブログでも何度も紹介した質問です。
僕は、この質問は教室のネット集客における「究極の質問」だと思っています。
なぜなら、この質問の答えこそが先生にしかない価値だからです。
では、先の音楽教室の先生の場合、どのような回答が挙がったのか?
実は、複数の生徒さんから寄せられたのが「先生は、やさしく教えてもらえそう」だったんですね。
これを、多くの方が先生のブログを通じて感じられたそうなんです。
それで、レッスンを申し込まれる方がいらっしゃるようです。
「やさしい」も価値になる!
ちなみに、音楽教室あるあるなんですが、昔の音楽教室の先生ってけっこう厳しかったそうなんですね。
- 手の形がおかしかったら、手をピシッと叩かれたり
- 姿勢が悪かったら、背中に1mのものさしを入れられたり
- 「なんで間違えるの!」とヒステリックに怒ったり etc
もちろん、そんな先生ばかりではないとは思います。
事実、僕が小学生のころ通っていたピアノ教室の先生はとても優しかったですし。
ただ、わりと厳しい先生は多かったみたいなんですね。
それで、今のお母さん世代の方で、ご自分が小さいころに厳しい先生のレッスンがイヤだった経験をされた方がおられるんです。
なので、あまりお子さんには音楽を習わせたくないようです。
でも、お子さんに音楽を習いたいとせがまれることがあるみたいなんですね。
お子さんが、幼稚園などで楽器を弾いたことがきっかけで習いたいと。
そこで、お母さんは葛藤されます。
「わが子には、私と同じ経験をして欲しくない。でも、子どもをよろこばせてあげたい」
そして、ネットで探すワケです。
「優しく教えてくれる先生がいないかしら…」
つまり、世の中には資格や学歴より演奏スキルより“やさしい先生”を重視する方がおられるんです。
そして、先の音楽教室の先生が優しそうな印象だったため、先生の教室を選ばれているんですね。
たしかに、文体やお写真などから人柄がにじみ出ていると、僕も感じました。
これも立派な価値です。
価値をどう集客に活かすか?
そして、こういった点が先生にしかない価値だとわかった場合、僕ならその価値を大々的に打ち出すようにします。
例えば「ファーストビュー」と呼ばれるホームページの上部エリアに、先生が笑顔でレッスンしている写真を掲載します。
そして「やさしくていねいに、お子さんに合わせてレッスンいたします」といったキャッチコピーを記述します。
ポイントは「いたします」ですね。
そのほうが、ていねいな印象がより際立つと思います。
いずれにしても「優しい先生」がニーズなら、ホームページを開いた“瞬間”に優しさが伝わるようにします。
本文を読み進めなければ気づかない優しさは、優しさではありません(苦笑)。
そして、上記のように打ち出すと、反響は高まります。
書いてなければ、やってないの法則
ちなみに「やさしくていねいに、お子さんに合わせてレッスンいたします」という打ち出し方は、他の教室でも打ち出せる表現かもしれません。
なので、場合にによっては“先生にしかない価値”だとは言えない場合もあります。
しかしもし、他の教室さんのホームページなどで優しさに関する表現がなく、先生だけがホームページなどで優しさや丁寧さを表現していたらどうでしょう?
それは、世の中の多くの方が「やさしくていねいに指導してくれるのはこの教室だけだ」と認識します。
つまりですね、上記のような表現を書いていないとそれは“やっていない”ことになっちゃうんです。
これを僕は「書いてないと、やってないの法則」と名づけています(笑)。
先生がご自身の価値を正当に評価する
では、今回のポイントをまとめたいと思います。
大切なことは、先生ご自身の価値を正当に評価することです。
そして「先生の価値」とは、生徒さんが知っておられます。
だからこそ、今回ご紹介した「究極の質問」を生徒さんに聞いてみてください。
そして、先生が生徒さんから選ばれている素晴らしい価値を客観的に理解してください。
そうして、ご自身の価値を正当に評価できるようになると、正当なるレッスン料を提示することができるはずです。
もちろん、先生の価値をホームページで最適に打ち出せば、その価値とレッスン料に見合う生徒さんが、必ず集まります。
誰よりも、先生がご自分の価値を評価してくださいね。
追伸:世界一売れているアーティストって?
ネットで調べたところ、これまで世界でもっとも売れたCDがマイケル・ジャクソンの「スリラー」というアルバムで6,600万枚だそうです。