以前(個人的に)おもしろい動画を見つけました。
トヨタの社長さん、豊田章夫氏とイチロー選手の対談映像です。
その中で、とても興味深いお話がありました。
2018年、トヨタはソフトバンクと提携し、新たな自動運転車およびサービスを提供する新会社を設立しました。
トヨタの企業理念とは?
これは、豊田社長いわく「車を通じて、すべての人に移動の自由を与え、社会に貢献する」という、創業時からの企業理念に基づいての行動だったんだそうです。
そして現代では、この理念に書かれている「すべての人」とは健常者だけではありません。
高齢者や、障がいをお持ちの方も含まれています。
ちなみに、自動運転車を開発する過程で豊田社長は、パラリンピックに出場されたあるアスリートの方とお話する機会があったそうです。
そのアスリートの方が、こうおっしゃったんだそうですね。
「僕ら(障がいをもっている方)もカッコいい車に乗りたい」
車椅子が乗せられればOK?
これまでもトヨタは、障がい者向けの車を作っていました。
しかし、豊田社長ご自身は、これまでこのように考えておられたそうです。
「障がい者の方が、車を運転できるよう 運転席に車椅子を乗せればいいんだ」
極論すればですね(障がい者の方が)運転できるよう運転席に車椅子さえ乗せられれば、車のデザインやスペックは二の次でいいと思ってらしたんですね。
しかし、アスリートの声は違っていたんです。
「カッコいい車に乗りたい」
運転できることはもちろんのこと、車に乗るカッコよさやステータスなど、カッコいい“体験”までもを求められていたんです。
これは、教室ビジネスにも非常に大切な示唆に富んでいます。
いいレッスンとは?
ちょっとここで、話題を変えますね。
先日、ある教室の先生と新しい教室ビジネスおよびサービスの事業計画を練ることになりました(まだ、計画段階ですので詳細はお話できませんことをご了承ください)。
その先生がこれからはじめようとお考えなのが、障がいをお持ちの方向けのレッスンなんですね。
先生は、そのレッスンをずっとおやりになりたかったそうです。
そしてその理由は、先生の幼少期の実体験に基づくものでした。
ご両親が、ボランティアでずっと障がい者の介助をやってらしたんですね。
その姿を見て来たからこそ、先生はいつか自分のスキルを通じて障がいをお持ちの方の役に立ちたいと考えておられたそうです。
ウチはつぶれます…
しかし、その一方で躊躇されていたそうなんですね。
その理由のひとつに、すでに市の福祉サービスがそのサポートを安価で提供していたことがありました。
「それと同じ値段でやったら、ウチはつぶれます…」
しかし、僕はそのお話を伺ったときこうお伝えしました。
「それであれば、適正な価格で生徒さんが“ワクワクする”レッスンを 提供してください。 そうすれば、きちんと利益を確保できもちろん、生徒さんも集まります。」
(誤解を怖れず言いますと)公共サービスは、サービスとしての「必要性」は満たしてくれますが(お客さまの)「ワクワク感」までもを満たすことはあまりありません。
“ワクワクする”公共の介護サービスを見ることは、あまりありません。
アーティストのコンサート会場のように、エンターテイメントされた市役所の税務課というものを見たことがありません(笑)。
教育エンターテイメント
ここに、私たち民間サービスが求められるフィールドがあります。
先ほどの「カッコいい車に乗りたい」と同じです。
誰だって、通うことが楽しかったり、カッコよかったり、イケてたり、ワクワクしたり…、そういった教室に通いたいんです。
エンターテイメント(entertainment)とは「おもてなし」という意味があります。
レッスンを通じて、生徒さんがワクワクするおもてなしをするんです。
これが「教育エンターテイメント」です。
5倍高くても集まるレッスン
世の中の多くの教室ビジネスは、公共サービスでも提供されていることが少なくありません。
例えば、あるピアノ教室の先生のケースです。
その先生は「リトミックレッスン」を展開されていました。
ちなみに「リトミック」は、近くの公民館でも受けることができました。
しかも、ワンコインでです。
それに対して、その先生のリトミックレッスンは公民館よりも4~5倍ほど価格が高かったんです。
にも関わらず、毎回、満席近くまで参加者が集まるんですね。
その中には、継続でずっと通われている方もたくさんいらっしゃいました。
なぜ、高くても集まるのか?
価格だけを見れば、ワンコインのほうがいいですよね。
でも、価格が高いほうのレッスンに参加するのはなぜでしょう?
それは、その先生のリトミックレッスンが「楽しい」からなんです。
実際のピアノに触れることができたり、生のピアノの音を聞いて体操をしたり。
カラフルな、アクティビティグッズを使ったり…。
それらを体験すると、お子さんも保護者の方もこっちのレッスンのほうが楽しいことがわかります。
このように「エンターテイメント」にお客さまが価値を感じる実例が、すでにあったんですね。
人は、ワクワクすることにお金を使いたい
人は、必要性の高いものにお金を払うとはかぎりません。
むしろ「ワクワクすること」のほうに、お金を払いたいと思う傾向が高いのではないでしょうか?
だからこそ、先の障がい者向けのレッスンも「エンターテイメント」が成功のカギを握っています。
もちろん、それ以外にもクリアすべき課題はあると思います。
ですが、何より先生ご自身が「やりたい」強い気持ちをお持ちです。
だからこそ、方向性を見失うことなく取り組むことができるでしょう。
そして必ず、お客さまも先生もそして地域も満足の高いレッスンが提供できるはずです。
成功のための答えは、すでに自分の中にある
ちなみに、実はこの先生が現在おやりになっているレッスン。
これも、公民館などで安価で受けることができるんです。
でも「こっちのほうがいい」と言って生徒さんが受講されているんですね。
つまり、先生ご自身がすでに、同様の成功体験をお持ちだったんです。
これは、とても大切なことです。
成功へと導くカギは、すでにご自分の中にあるんですね。
そして、それに気づくことができるかどうかが、教室経営の成功を大きく左右します。
ということで、今日のまとめです。
「“ワクワクする”レッスン」を提供しましょう。
そして、すでに提供されている先生は、さらにもっともっと提供して行きたいですね。
しかもそれは、生徒さんがワクワクするだけでなく、先生もワクワクするものにしてください。
先生が、よりワクワクした毎日を送ってくださることを僕は願っています。