※このブログは、私のメルマガで2020年6月19日に配信したものです
当時、メルマガでお伝えした内容を、今こそ振り返り、未来へのヒントにしていただければと願い、加筆・修正のうえ、このブログで再度ご紹介いたします。
コロナ禍においては、それ以降も教室や習いごとの新規入会が思うように伸びず、悩んでいる方も多かったのではないでしょうか。
実は、そんなときだからこそ効果を発揮する「あるフレーズ」があります。
今回は、その言葉がなぜ反応を引き出すのか、そしてどう使えばいいのかを解説します。
ぜひ、あなたの発信に活かしてみてください。
「●●●●」というフレーズ、使っていますか?
以前のブログで自粛解除以降も、新規入会の反応が鈍い傾向がつづいているとお伝えしました。
その原因の一端は、やはりコロナだと思うんですね(※2020年6月19日当時)。
ところで、コロナ禍のような不安定な状況がつづくと、人は無意識のうちに強いストレスを感じてしまいます。
そしてストレスが溜まると、頭の中がうまく働かず、冷静な判断がしにくくなることがあると言われています。
つまり、思考力が落ちて「何をどうすればいいのか?」と考えること自体が、難しくなってしまうんですね。
例えば、普段であれば、
- 「そろそろ何か習いごとを始めてみようかな」
- 「前から気になっていた●●教室に行ってみようかな」
と自然に考えられる人であっても、不安やストレスが強くなると、上記のような前向きな行動を“考えること”すら後回しにしてしまうんです。
「判断できない」心理状態に注目
つまり、このような状態の人は「今は、習うのをやめておこう」といった“やらない判断”をしているわけではなく、そもそも「習うかどうか?」を考えること自体ができていないという可能性があります。
しかし、別の見方をすればメリットもあります。
そして、それを活用し反応を上げるフレーズがあります。
それは「みなさん」です。
例えば、コロナ禍で自粛要請期間中、多くの方が自粛していたのはなぜでしょうか?
それは「みなさん自粛していたから」ではないでしょうか。
これは「みんなと一緒だと、安心する」という気持ちの裏返しでもあります。
もしくは、思考停止がちな状況で「誰かに答えを委ねたい」という気持ちも垣間見えます。
決して、みんなと一緒がダメではありません。
みんなが、一致団結しているとも言えます。
【補足】「みなさん」が反応を引き出す科学的な理由
では、なぜ「みなさん」というフレーズを、ホームページやチラシなどに用いると、高い反応を生むのか?
それについて、少し科学的な視点からも解説したいと思います。
この言葉が強く作用する理由のひとつは「社会的証明の原理(Social Proof)」という心理法則にあります。
これは、心理学者のロバート・チャルディーニ氏の著作「影響力の武器」の中で提唱されている法則です。
そして、社会的証明の原理(Social Proof)は「人は、他人の行動を基準にして自分の行動を決める傾向がある」という法則を示したものです。
レビュー評価が高い商品を選ぶ理由は?
例えば、レストランの入り口に「人気No.1メニュー」と書かれていると、ついそのメニューを頼みたくなったり、レビュー評価が高い商品を選んでしまった経験はありませんか?
これは「他の人がそうしている=自分も安心して選べる」という“集団行動への信頼”が働くためです。
また「みなさん、はじめています」と言えば「すでに多くの人が行動している」ことが伝わりますよね。
すると、それを見た人の脳内では無意識に「じゃあ、自分も安心して参加して大丈夫そうだ」と感じるんです。
その結果「みなさん」が選んでいる、商品やサービスを購入する傾向が高くなります。
このように「みなさん」という言葉は、社会的証明の原理を、たった一言で暗示できる非常に優れた言語表現であると言えます。
他にも「みなさん」にはこんな効果が
「みなさん」が、読み手の反応を引き上げる効果が高い理由は、脳科学の観点でも説明ができます。
人間の脳には“ミラーニューロン”と呼ばれる神経細胞があります。
ミラーニューロンは「他人の行動を見たり想像するだけで、自分も同じ行動をとったような脳活動が起こる」という特徴があるんですね。
その観点から考えると「みなさん、はじめています」というフレーズを目にしただけで、その人の脳内では“自分もその行動をとった”ような感覚が起こりやすくなります。
そしてその感覚が、実際のその人の行動の後押しにつながります。
さらに、行動経済学の観点では「損失回避バイアス(loss aversion)」という法則も知られています。
これは、人間は得をすることよりも「損をしたくない」という気持ちに強く反応するというものです。
そのため「みなさんが、すでにはじめている」と聞くと「自分だけはじめていないと、乗り遅れて損をしてしまうかもしれない」と無意識に感じるようになり、その結果、行動を起こす確率が高まると言えます。
「みなさん」に隠された科学的メカニズム
加えて、コロナ禍のようなストレス下では、脳の中の「前頭前野」という部位の働きが鈍り、合理的な判断がしづらくなると言われています。
前頭前野は「人間らしい思考」を司る脳の司令塔とも言われていて、知的活動・感情のコントロール・計画・判断など、複雑な認知機能を担っています。
それが、ストレス下だと働きが鈍るんですね。
そうなると、人は「自分で考えるよりも、周囲に同調したい」という本能的傾向が強くなります。
ですので「判断ができない・考える余裕がない」状態の人にとって「みなさんがやっている」という情報は、結果的には思考せずとも行動を決定できる“安心材料”となっているんです。
改めて整理すると「みなさん」というたった一言には、つぎのような複数の科学的メカニズムが関わっています。
- 社会的証明(みんながやっているなら安心)
- ミラーニューロン効果(自分もやった気になる)
- 損失回避(自分だけやってないと損しそう)
- 判断停止状態への補助(考えなくても選べる)
そのため「みなさん」というフレーズが、読み手の反応を強く引き出すんですね。
こうした科学的根拠と言いますか、背景を知っておくと「言葉の力」をもっと戦略的に活かすことができるようにもなります。
「みなさん」の活用法と設置場所
以上のことから、「みなさん」というフレーズがホームページなどの反応を上げると僕は考えます。
例えば、ホームページなどではつぎのようなフレーズを用いるとよいでしょう。
- 「みなさん、はじめています」
- 「すでにはじめられたみなさんが とてもよろこんでおられます」
- 「みなさん、今だからはじめたいと 思ったとおっしゃっています」
そして、このようなフレーズをホームページの冒頭に目立たせるように表記します。
すると「みなさん」が、目に留まりやすくなります。
いくら「みなさん」を記述していても、目に留まらなければ読まれていないことになってしまいます。
なので、読まれる工夫は必要です。
ちなみに「みなさん」は、実は平時でも、わりと反応を引き出すフレーズなんですね。
それに加えて、コロナ禍といった緊急時には「みなさん」に“みなさん”が反応しやすい時期だと僕は考えています。
お試しになってみてください。
まとめ
コロナ禍などの影響で、消費者の購買や申し込みの判断力が鈍ったときであっても「みなさん」という言葉は共感と安心感を与え、行動を後押しする力を持っています。
ほんのひと言でも、タイミングと場所を工夫することで反応は大きく変わるかもしれません。
「みなさん」という力強いフレーズ、ぜひあなたの発信にも取り入れてみてください。