教室経営がうまくいかない理由は「ビジョン不足」?成功に導く目標設定法とは

明確なビジョンを持つことで達成できる、教室経営の目標設定法というテーマで、お届けしていきたいと思います。

まず、ビジョンについてお話しします。

ビジョンというのは、ビジネスの場面でよく耳にする言葉ですよね。

改めて説明すると、ビジョンとは企業や組織が将来的に目指す理想の姿、あるいは未来への展望のことを指します。

具体的には「会社が将来的にこうあるべき」「こういう経営方針で進めていきます」といった姿を、言語化あるいはイメージ化したものを指します。

これがいわゆる“ビジョン”と定義されているわけですね。

有名企業のビジョンに学ぶ

ここで、いくつか有名企業のビジョンも調べてみたので、ご紹介したいと思います。

Appleのビジョンとは?

Appleは、iPhoneなどで知られる会社ですね。

Appleのビジョンは、「人々の生活をより良くする製品を通じて世界を変える」というものです。

そしてAppleは、そのビジョンに基づいて「Apple 2030」というスローガンを掲げています。

具体的には、2030年までに全製品のカーボンニュートラル化を達成することを目指しています。

そのために再生可能エネルギーの利用や、リサイクル素材の活用を進めています。

さらに、医療分野においても革新的な製品を提供して、世の中に貢献しようとしているんですね。

たとえば、Apple Vision Proという製品がリリースされ始めています。

これは、いわゆるVRゴーグルのようなもので、装着すると仮想のモニターやスマートフォンの画面が目の前に表示されるものです。

体の動きによって操作が可能で、例えばYouTubeを再生したり、メールのやり取りができたりします。

まるでSF映画、たとえば『スター・ウォーズ』のように、空中に情報が浮かんで操作できる、そんな世界が現実のものとなりつつあります。

Apple Vision Proは、特に医療教育の分野で活用が期待されています。

医師を養成するためのアプリケーションを開発し、医療分野に貢献しようという取り組みが行われています。

Googleのビジョンとは?

Bangkok. Thailand. FEB 21,2019 :A man is typing on Google search engine from a laptop. Google is the biggest Internet search engine in the world.

次にGoogleですが、Googleのビジョンは「ワンクリックで世界の情報へアクセス可能にする」というものです。

そのビジョンを実現するために、現代では責任あるAIの活用を推進しています。

AIは非常に便利な一方で、使い方を誤ると、まるで『ターミネーター』や『マトリックス』のような世界になる危険性も指摘されています。

そうならないために、ユーザーにとって安全で、社会に有益なAIの開発を進めているわけです。

日本企業では?

INVER GROVE HEIGHTS, MN/USA – JUNE 17, 2018: Toyota autombile dealership exterior and trademark logo.

日本に目を向けてみると、トヨタのビジョンは「モビリティを通じてすべての人に幸せを届ける」ことです。

そして「誰もが自由に移動できる社会を実現する」という願いも込められています。

その一環として、未来のモビリティ社会に向けて、自動運転や電気自動車の技術開発が進められています。

また、自動車の環境負荷をゼロにすることを目指した製品開発にも力を入れています。

もう1つ例を挙げると、ユニクロのビジョンは「服を変え、常識を変え、世界を変える」というものです。

そのビジョンに基づき、サステナブルな服作りに取り組んでおり、リサイクル素材を活用した循環型の製品開発を推進しています。

ビジョンが目標設定を明確にする理由

このように、ビジョンを掲げることで、それを実現するための具体的な目標が見えてくるのです。

つまり、ビジョンがあると、目標設定も明確になりやすいという側面があります。

そこで、ご覧いただいている先生方にも質問させていただきたいのですが「先生方は、ご自身の理想の教室像、ビジョンは明確に描けていますか?」

実は、経営が行き詰まる原因の1つに「ビジョンが曖昧なまま経営を進めている」ことがあるんですね。

逆に、どんなに状況が悪くても、ビジョンを明確に描くことでビジネスを立て直せることもあります。

実際に私も、これまで多くの先生とセッションを重ねて、ビジョンを描くお手伝いをしてきました。

明確なビジョンを描けたとき、頭の中で理想の教室像がクリアにイメージできたり、それを言葉で明確に表現できたりします。

そうすると、その先生の表情がとても生き生きとして、キラキラと輝き始めるんですね。

ご本人としても、胸が高鳴ったり、ワクワクしたり、「やるぞ!」という意欲がどんどん湧いてきたりします。

「これが私が教室をやっている理由だったんだ」と深い確信が得られることもあります。

そうすると、自然と腹が据わる感覚も出てきます。

そこで今回は、ビジョンを描いたことで目標が明確になり、経営が大きく変わった先生の事例をご紹介したいと思います。

ビジョンが曖昧なまま経営を進めることのリスク

その前にもう1つ、ビジョンが描けていないときに起こりがちな問題についてお話しします。

まず1つ目は、新規集客ばかりに目がいってしまい、長期的な戦略が立てづらくなることです。

目の前の売上や生徒数ばかりを追いかけてしまい、長期的な視点で物事を考えるのが難しくなります。

また、「自分はどんな教室を作りたいんだろう?」と悩み続け、モヤモヤした状態が長く続いてしまうこともあります。

さらに、ビジョンが不明確だと、価格設定やサービスの方向性にも迷いが生じやすくなります。

生徒さんからあれこれリクエストがあって、その都度対応してしまい、結果として振り回されてしまうことにもなりかねません。

もう1つの問題としては、目先の数字、つまり売上や生徒数にばかり気を取られてしまい、生徒の満足度や自分の理想といった大切な部分に気づけなくなることです。

そうなると、事業そのものが停滞してしまうことにもつながります。

ビジョンが明確になることのメリット

一方で、ビジョンが明確になってくると、先生自身の理想とする教室の世界観が一貫して現れてきます。

言動や振る舞い、教室のしつらえ、指導の内容などがビジョンと一致してくるのです。

その世界観に共感する生徒さんが集まってくるので、結果的に長く通ってくださるファンのような生徒さんが増えてきます。

また、ビジョンが明確であると、戦略的な価格設定や講座設計も可能になり、長期的に通ってもらえる仕組みを作ることができます。

それによって、結果として利益率も上がってくるというメリットもあります。

さらには、ビジョンがあることで、長期的な視点で経営判断ができるようになります。

たとえば、今ホームページを作ったりチラシを配ったりすることは、将来の教室成長のための必要な投資だと判断できるようになります。

スタッフや講師の成長にもつながるビジョンの力

さらには、ビジョンというものを明確にすることで、他のスタッフや講師の方々に対して、教室としての方向性をはっきりと伝えることができるようになります。

そうすると、そのビジョンがスタッフ一人ひとりの行動の判断基準にもなっていくわけです。

その結果、いちいち塾長や教室長といった責任者の判断を仰がなくても、スタッフや講師たちが自分で考え、判断し、行動できるようになっていきます。

そうなることで、スタッフの自立性や成長も促されていくという、大きなメリットがあるのです。

ですから、こうした様々なメリットを考えると、やはりビジョンを掲げるということは非常に重要であると私は思います。

ではここから、私のクライアントさんで、ビジョンを明確にし、理想の教室経営を実現された先生の事例をご紹介したいと思います。

実例紹介:ピラティスで岡山をハッピーにするビジョン

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その先生は、ピラティススタジオを経営されている方です。

その先生が掲げたビジョンは、「ピラティスで岡山をハッピーにする」というものでした。

このビジョンは、ある時のコーチングセッションの中で、先生ご自身に数年後の「喜んでいる自分の姿」を思い描いていただくことで生まれました。

そのときに、たしか1年後だったか3年後だったか、あるいは10年後だったか、明確に時間軸を設定して想像していただいたのですが、少し詳細は忘れてしまいました。

とにかく「未来の理想的な自分の姿を思い描いてください」とお願いしたのです。

すると、その先生が想像された未来の姿が、とてもユニークだったんですね。

数年後「自分は岡山県庁にいて、パンツスーツ姿で県庁を訪れ、市長から花束を受け取り、表彰されている」というイメージを語られたのです。

そこで私は、「なぜ岡山県庁で表彰されているのですか?」とお尋ねしました。

そのとき先生は、「私はピラティスを通じて岡山の発展、活性化に貢献したからです」と答えられました。

岡山をピラティスで活性化する構想

続けて、「具体的にどのようにピラティスで貢献されたのですか?」と質問すると、先生はこうおっしゃいました。

「私が感じているのは、岡山という地域は、よく“スルーされる県”だということなんです」と。

ちなみに、この先生は岡山県でピラティススタジオを運営されています。

ご自身は他地域のご出身ですが、岡山に移住され、とても岡山のことを気に入っておられます。

岡山は住みやすく、身近で何でもそろい、コンパクトで素晴らしい街だとおっしゃっていました。

新幹線も止まりますし、交通の便も良いのですが、多くの人が岡山を素通りしてしまい、西に向かう場合は広島や福岡、東に向かう場合は大阪や京都に行ってしまうと。

つまり、誰も岡山で途中下車しない、ということをおっしゃったんです。

「でも私はピラティスを通じて、人が岡山に集まるようなきっかけを作ることができた。だからこそ表彰されたんです」ということを語られました。

これは、理想の未来について楽しく、ワクワクしながらアイデアを膨らませる、まさにブレインストーミングのような対話でした。

このように、ピラティスをきっかけに岡山に多くの人が集まり、その地域に貢献する。

それが、「ピラティスで岡山をハッピーにする」というビジョンの意味なのだと語ってくださいました。

岡山に人が集まる未来の社会の構想

さらにその後、私が質問したのは「岡山全体にピラティスが広まると、どんな良いことが起こるのでしょうか?」ということでした。

すると、先生はこう答えられました。

「ピラティスをやると、みんな元気になりますし、病気にもなりにくくなります。だから病院に行かなくなるんです」と。

つまり、老若男女問わず、ピラティスが日常的に習慣化されることで健康が向上し、医療機関の利用が減少する。

それにより医療費が削減され、行政の予算に余裕が生まれる。

その余った予算を“子育て支援”に充てることができるというのです。

例えば、小さなお子さんの医療費が何歳まで無料になるとか、子育て関連の施設が無料で利用できるといった施策が実現できると。

こうした取り組みによって、岡山は子育て世帯にとって非常に住みやすい町に変わっていく。

そして、そうした情報が広まることで、県外からの移住者が増えていくとおっしゃいました。

移住者が増えれば、当然ながら税収も上がります。

すると、上がった税収で「アニメのアミューズメントパーク」を作りたいという話も出ました。

岡山にはいろいろなアニメの聖地となっている場所があるそうで、それを活かしたアミューズメントパークを建設すれば、全国から観光客が集まるのではないか、と。

すると、今までは素通りされていた岡山に、全国から人が集まり、経済効果が生まれる。

これが先生が考えておられた「ピラティスをきっかけに、岡山の発展が促されていく」という構想だったんですね。

ビジョンを描く際のポイント

このような対話を、私とその先生とで、楽しみながら進めていきました。

ここで大事なのは、こうしたビジョンを掲げる際には、現実的に考えすぎず、「こんな未来が実現できたら素敵だな」「こうなったら楽しいな」と自由に発想することです。

まさにブレインストーミングのスタンスで、発想を自由に広げていくのが良いと思います。

その中から、では実現のためにはどんなプロセスが必要か、どんな出来事が起こるのか、と筋道を立てていければ、さらに良いビジョンになっていくのです。

そのように、ピラティススタジオの先生は、「岡山をハッピーにする」というビジョンを掲げ、それがどのように発展していくのかという流れまでを、具体的に描かれました。

そして、この「岡山をハッピーにする」というビジョンを掲げたあとに次に行ったのが、「では、その理想的な未来から逆算して、今、具体的にどのような行動を取ればその未来に近づけるのか?」ということを考えるステップでした。

このように、ビジョンを掲げることで、その実現に向けた具体的なステップ――つまり目標が自然と明確になりやすくなるということが言えると思います。

それは先ほど冒頭でご紹介したように、さまざまな有名企業がビジョンを掲げ、それを実現するためのスローガンや目標をセットで掲げていたのと同様です。

ビジョンが定まることで、目標もまた明確に見えてくる、ということが言えるでしょう。

指導者育成が生んだ新たなビジネスの柱

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そして、このピラティススタジオの先生が、理想の実現に向けてまず最初に思い浮かべた目標が「指導者の育成」だったそうです。

やはり、県全体にピラティスを広めていくとなると、先生お一人の力では限界があると思われたのでしょう。

そこで、ご自身と同じように指導できる指導者が県内に増えていけば、より多くの人にピラティスを広めていけるのではないかと考えられ、「指導者育成講座」を始める決意をされたのです。

実際、それまでその先生は指導者育成を講座として行ったことはありませんでした。

しかし現在では、その先生は「指導者育成講座」を継続して行っていらっしゃいます。

つまり、それまで存在しなかった新たな収益の柱が、先生のビジネスに生まれたのです。

しかも、指導者育成講座というのは、一般の方がピラティスを受けるよりも単価が高くなります。

いわゆるプロ向けのレッスンというのは、一般向けよりも単価が高くなるため、この講座を始めたことは、先生にとってビジネス上の大きな収益源となりました。

そのきっかけとなったのが、やはりビジョンを掲げたことにあるのです。

このように、ビジョンを掲げることで、その結果として収益を生む源泉が生まれることもあるのです。

ビジョンがもたらす応援と可能性

さらに、ビジョンを掲げると面白いことが起きます。

ビジョンを掲げて、それに向かって具体的な目標を立て、行動を始めると、なぜか現在から未来をつなぐための「後押し」をしてくれる応援者が現れるんですね。

これは今回のピラティススタジオの先生だけでなく、私がこれまでセッションを通じてビジョンを策定してきた多くの先生方に起きていることです。

理由は分かりませんが、なぜかそういった応援者が自然と現れるのです。

それはご本人も予想していなかったような、意外な形で訪れるという点がまた面白いところです。

では、今回のピラティススタジオの先生の場合はどうだったのかというと――。

ビジョンを描いてから、確か数週間以内だったと思います。

先生のもとに、知り合いのパーソナルトレーナーの方から電話がかかってきました。

そのパーソナルトレーナーの方が、「今、私が担当しているプロのサッカー選手がいるのですが、その選手のリハビリをお願いできませんか?」と依頼してきたのです。

つまり、ピラティスを通じて、その選手の怪我からの復帰をサポートしてほしいという依頼でした。

Jリーガーとの出会いがすべての始まり

その先生は快諾され、実際にそのプロ選手――要はJリーガーですね――のリハビリを担当し始めたのです。

しかもそのJリーガーは、元日本代表でもある非常に有名な選手だったのです。

彼にとってピラティスは初めての経験でしたが、ピラティスを取り入れることでリハビリが順調に進み、数ヶ月後には試合に復帰できるまでに回復しました。

そして実際に試合に出てみたところ、その選手は「今まで以上に高いパフォーマンスが出せる」「身体が非常に動きやすくなった」と実感されたそうです。

そしてそれは、今まで取り入れてこなかったピラティスを導入したことが大きいのではないか?と、ピラティスの効果に対して非常に手応えを感じられたそうです。

そのため、その選手はその後、地元のローカルテレビ番組などにゲスト出演した際、「ピラティスをやっているんです」「ピラティスはいいですよ」と発言されるようになりました。

メディアを通じた拡散と変化の始まり

ここで重要なのは、Jリーガーをはじめとするプロアスリートやオリンピック選手、芸能人、有名人、医師など、社会的に影響力のある人たちがメディアを通じて発言すると、それが一気に世の中に広まるということです。

よくある話ですが、たとえば健康情報番組でお医者さんが「バナナが健康に良い」と発言すると、翌日スーパーからバナナが消える、なんてこともありますよね。

これは、影響力のある人が、影響力のあるメディアを通じて情報を発信した結果なのです。

それと同じことが、この元日本代表のJリーガーの発言によって起き始めたんです。

具体的には、その選手が紹介する形でチームの複数の選手が、ピラティスを受けたいとその先生のもとを訪れるようになりました。

さらに、テレビ番組でそのJリーガーがピラティスについて語ったことがきっかけで、実際に「テレビを見ました」という一般の生徒が先生のスタジオを訪れるようになったのです。

結果として、その先生のスタジオの収益も上がり始めました。

限られた環境でもビジョンを持ち続ける

ちなみにその当時、その先生はご自宅の一室を改装してスタジオにされていました。

そのため、マシンも一台しかなく、そのスペースでは常に1対1のパーソナルレッスンだけを行っていらっしゃいました。

当時は、スペースや設備の関係で、複数人でのレッスンはできなかったんですね。

しかし、先生には「岡山をハッピーにする」というビジョンがありましたので、いずれはスタジオを拡張し、複数人に指導できる体制を整えたいというお考えがありました。

そんな中、Jリーガーが訪れ、ピラティスの普及が徐々に広まり始めた頃、先生はたまたまある異業種交流会に参加されたそうです。

異業種交流会に参加されたご経験のある方なら分かると思いますが、そういった場では自己紹介の時間がありますよね。

実際にその交流会でも、先生が自己紹介をする時間があったそうです。

そこで先生は、「私はピラティススタジオを経営しており、ピラティスを通じて岡山をハッピーにしたいと思っています」と語られました。

さらに、「ピラティスを通じて医療費を下げたり、子育て支援にもつながるような活動をしていきたい」と、先ほどご紹介したようなビジョンを自己紹介の中で共有されたのだそうです。

好意ある申し出と移転への後押し

すると、その交流会が終わった後に、参加していた年配の女性経営者の方から声をかけられたそうです。

そして、その女性の方から、「あなたの考え方はとても素晴らしいですね。感銘を受けました」とお話があったそうなんですよね。

そして話をよくよく聞いてみると、その女性経営者の方というのが、不動産事業をされている方でして、ご自身で複数の物件を所有されていたそうなんです。

その中のひとつに、岡山駅の比較的近く、繁華街にある物件があり、その一室をぜひあなたに貸したいとおっしゃったそうなんです。

その時点では、先生ご自身もいずれは拡張移転をしたいというお気持ちはあったものの、収益面やその他の条件から「今ではない」と考えていらっしゃったんです。

ところが、その女性経営者の方が、「あなたに貸したいから、その部屋は空けて待っておきます。準備ができたら連絡してください」と言ってくださったそうなんですね。

結果として、確か1年半ほどその物件を空けて、貸し出しもせずに待ってくださっていたということなんです。

本当に「あなたに貸したい」という強い想いがあったようなんですね。

拡張移転とスタジオの進化

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そして時が経ち、先生としても今なら移転を考えても大丈夫という経営状態になり、そのタイミングで拡張移転を決断されたそうです。

その頃には、マシンを複数台導入し、指導者育成講座も継続されていたので、指導者も育ち、同時に複数人に教えられるスタジオを作る準備が整っていました。

そうして拡張移転を果たし、現在もなお指導者の育成を続けながら、多くのピラティス愛好者が集う場所として機能しているんですね。

アクセスも非常に良い場所ということもあって、年々業績を伸ばされており、「岡山をハッピーにする」活動を今もなお継続されていらっしゃるんです。

これが、今回ご紹介したクライアントさんの実際の事例になります。

ここまで至るには、ビジョン策定から相当な時間がかかっています。

おそらくビジョンを掲げた当初から考えると、コロナの時期も挟んで8年、9年くらいはかかっているのではないかと思います。

その間には、僕の知らないところでも、様々なトラブルや困難があったことでしょう。

それらを先生ご自身の力だけでなく、多くの人の支えや力を借りながら乗り越え、成長してこられたのだと思います。

時間をかけた実現とビジョンの力

ここで大事なのは、「どういうスタジオを作りたいのか」という明確な方向性があったからこそ、今の状況を実現できたということです。

つまり、理想を描いていたからこそ、現在の状態を実現するまで歩んでこられたということなんです。

逆に言えば、どういうスタジオにしたいか、あるいはその先に「岡山をハッピーにする」というビジョンがなければ、今もなおご自宅の一室でピラティスをされていたかもしれません。

このように、「ビジョン」や「理想の未来」は、先生が最終的にたどり着きたいゴールのようなものだと思うんですね。

日常生活でも、行き先が決まっていなければ進みようがないのと同じです。

たとえば、ディズニーランドに行くのか、USJに行くのか、それが決まっていればそこに向かって進めますが、行き先が決まっていなければ進むことはできません。

今回ご紹介した先生は、「岡山をハッピーにする」というビジョンを掲げたことをきっかけに、着実にその方向に歩みを進めていかれました。

ビジョンを具体的な言葉にする重要性

もしかしたら、僕とセッションする前から、先生の頭の中には「岡山をハッピーにする」というイメージがあったかもしれません。

でも、ビジョンというのは、自分の頭の中にとどめておくだけではなく、それを世の中に伝わる適切な言葉にできたときに、ものすごい推進力が生まれるんです。

なぜなら、それを世の中に伝える言葉にできれば、それを応援してくれる人たちが集まってくるからです。

その結果として、ビジョンの実現に向かう加速度が一気に高まっていきます。

ですので、この動画をご覧の先生方におかれましても、今一度ご自身のビジョンについて考え直し、それを明確な言葉で表現していただくことをお勧めします。

ビジョン実現のストーリーを描く

さて、ビジョンを明確化するためのコツについて、少しお話したいと思います。

まずビジョンとは、自分だけが得をするものではなく、自分を含めた世の中全体がハッピーになるような理想像を描くのが望ましいです。

先ほどの先生であれば、「岡山をハッピーにする」ということでしたよね。

その先生自身も岡山に住んでおり、岡山でスタジオを経営されていますから、岡山が発展し、ハッピーになれば、自分自身の幸福にもつながっていきます。

つまり、自分も含めた多くの人にとってハッピーにつながるビジョンを描くことが大切です。

そして、理想のビジョンイメージを掲げたら、それに紐づく目標を考えます。

たとえば、「このビジョンを実現するためには、こういったことをクリアする必要があるよね」とか、「こういう出来事が起こってくると、ビジョンは実現できるよね」といったようにです。

先ほどの先生の例では、ピラティスをきっかけに健康度が上がり、医療費が下がる。

その浮いた予算が子育て支援に使われ、移住者が増えるというストーリーで語れると、とてもワクワクしてきますよね。

数字で語るビジョンの説得力

ビジョンに向かうストーリーを言葉にしていくとき、「ハッピーになる」とか「ワクワクする」といった抽象的・感覚的な表現だけだと、聞く人はイメージしづらいものです。

だからこそ、先ほどのように「ピラティスによって健康になり病院に行かなくなる結果、医療費が下がる」とか、「移住者が増えて税収が上がる」というような、具体的な表現を使うことが大切なんですね。

そうすると、自分の中でもそのビジョンがより深く腑に落ちてきますし、聞いている人にとってもそのビジョンを共有しやすくなります。

結果として、応援してくれる人たちが現れやすくなるのです。

さらに言えば、たとえば「医療費が削減される」と言うなら、「現在と比較して年間でいくら削減できるか」といったような具体的な数値もあると、さらに説得力が増します。

「移住者が何万人増える」といったような具体的な数字も出せれば、現実味が一気に増してきます。

こうしたシミュレーションや数値の試算には、最近はChatGPTのような生成AIを活用することで、より具体的なイメージを描くことも可能です。

たとえば、「年間◯億円の医療費削減ができる」といった数字が出てくると、そのストーリーはよりリアルで現実味を帯びてきます。

それによって、やはりビジョンをより実現しやすくなるという効果は、十分に期待できると思いますね。

今日から始める「小さな一歩」

そして最後になりますが、そのようにビジョンや、それに向かうストーリーが明確になってきたら、その上で「今日から始められる小さな一歩」をぜひ決めて、終わりにしていただきたいんです。

あくまで、小さな一歩で構いません。

ですから、ご自身でビジョンを掲げて、その日のうちにできるような、小さな一歩をぜひ踏み出してほしいのです。

たとえば、そのビジョンを実現するために必要な情報をネットで調べる、というような簡単なことでも構いません。

そのような小さな一歩を踏み出すことで、二歩目、三歩目が自然と進みやすくなるという効果もあります。

やはり、行動しなければビジョンの実現や目標の達成はあり得ませんから、行動することが何よりも大切だと考えています。

特に、最初の一歩というのは最も心理的な負荷が大きかったりしますので、できる限りその負荷を小さくすることが大切です。

そして、小さな一歩を決めて、それを実際に行動に移すということが、非常に重要になると思います。

ビジョンがあるからこそ変化が起きる

以上をお聞きいただいて、もしかしたら「ビジョンなんて、本当に実現するのだろうか?」と疑問を感じた先生もいらっしゃるかもしれません。

あるいは、「ビジョンなんて本当に必要なのか?」とお感じになった先生もいらっしゃるかもしれません。

しかし、今回紹介した先生は、明確なビジョンを描いたことにより、それに向かうための目標も具体化していきました。

そして着実に、それに向かって変化されてきているわけです。

実際、ビジョンを掲げた当初は、それこそ夢物語のように思えるかもしれません。

しかし、「とにかくできることから始めてみよう」という姿勢で行動を始めると、先ほど紹介したような応援者や協力者が自然と現れてきます。

そうなると、あるタイミングで、それまでの夢物語のような感覚が、現実味を帯びてくるようになるんです。

さらには、多くの有名企業がビジョンを掲げているのも、やはりそのビジョンが方向性を定める“舵取り役”として機能しているからだと思うんですよね。

ですから、やはりビジョンというのは非常に重要なものだと、私自身は強く感じています。

ビジョンは今だからこそ考えるべきもの

もちろん、さまざまなご事情の先生がいらっしゃることも理解しています。

中には、「今はビジョンどころではなく、まずは目先の売上が大事だ」と感じておられる、経営的に厳しい状況の先生もいらっしゃるでしょう。

しかし、あえてそのような厳しい状況だからこそ、経営に軸を立てるという意味で、ビジョンを掲げることが必要なのだと私は思います。

むしろ、そういった時期にこそ、ビジョンという軸を持った取り組みが求められるのではないでしょうか。

また、例えば「私は個人でやっているし、規模も小さいからビジョンなんてまだ早いんじゃないか」と感じる先生もいらっしゃるかもしれません。

しかし、実は「まだ早いんじゃないか」と思うそのタイミングこそが、ビジョンを考えるベストなタイミングだと私は思うのです。

ソニーの設立趣意書に学ぶこと

一例を挙げますと、ソニーが創業した際に作られた「設立趣意書」があります。

これは非常に有名な話ですが、この設立趣意書には、ソニーのビジョンが言語化されています。

その中の一文に、「自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」という一節が記されています。

つまり、技術者が自由に、理想的な製品を生み出せるような、理想の工場を作るという強い意志が書かれているわけです。

これこそまさに、ビジョンそのものだと思います。

そして、そのビジョンをソニーは創業時点で明確に掲げていたのです。

その結果として、ソニーは世界的な企業へと発展していったという事実があります。

このことからも分かるように、ビジョンというのはいつ作ってもよいものですし、むしろ「まだ早い」と思う時こそが、これからの方向性を定める絶好の機会になるのではないでしょうか。

だからこそ、そのタイミングこそがビジョンを考えるベストタイミングだと、私は強く思います。

理想の教室とビジョンの描写を始めよう

ということで、ぜひ「理想の教室」や「理想の姿」といったビジョンを描いていただきたいと思います。

そして、そのビジョンを実現するための、新たな一歩を踏み出していただけたら嬉しく思います。

今回の内容が、ビジョン作成の一助となれば、大変嬉しく思っております。

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