今回は、「自己肯定感を高めるための3つの方法」というテーマでお届けしてまいります。
教室を運営していると、日々いろいろなプレッシャーを感じることがあると思うんですよね。
たとえば、集客のことが気になったり、保護者への対応に追われたり、もちろんレッスンそのものについて考えることもあるでしょう。
また、他の講師の方たちをどうマネジメントしていくかなども含めて、日々さまざまなことをお考えなのではないかと思います。
そういったことに取り組む中で、ふと気づくと「自分はこういうことが全然できていないな」とか、「どうして自分はこんなにうまくできないのだろう」などと感じることってありませんか?
「こんなこともできない自分はダメだな」と、無意識のうちに自分を責めてしまい、落ち込んでしまうことってあると思うんです。
こうした習慣は、いわゆる“自己肯定感”を下げてしまう原因になるんですよね。
「自己肯定感」とは何か?

最近では「自己肯定感」という言葉を耳にする機会も増えてきたのではないでしょうか。
改めて「自己肯定感」とは何かといいますと、「ありのままの自分を、良い面も悪い面も含めて受け入れ、肯定的に評価できる感覚」のことなんです。
そしてこの自己肯定感というのは、教室の経営にも、生徒さんや保護者の方々との関係、さらには講師間の関係など、さまざまな面に非常に大きな影響を及ぼすものだと、私自身、長年先生方を見てきて感じています。
私はこれまで約15年間で、トータルすると約2,500名ほどの教室の先生方のサポートを行ってきました。
その中で特に感じるのは、「売上」つまり「お金」と自己肯定感は非常に密接に関係しているということです。
ですから、「自己肯定感」というのは本当に重要な要素だと考えています。
自己肯定感と売上の密接な関係

自分のことを適切に自己評価できる先生というのは、何をやってもうまくいく傾向があります。
逆に、自己肯定感が低い先生というのは、率直に申し上げると、何をやってもうまくいかない傾向があるんです。
たとえば、教室の集客を良くしていく上では、先生ご自身の独自の強みを見つけることが重要です。
それに基づいてホームページを改善したり、より認知度を高めるためにSEO対策を行ったり、ネット広告を活用して認知を広げていくといった方法もあります。
けれども、こうした施策を行っても、自己肯定感の高い先生と低い先生とでは、なぜか結果が大きく違ってくるんですよね。
自己肯定感が高い先生の方が、そうした施策がしっかりと成果に結びつきやすいです。
一方、自己肯定感が低いと、いくら改善してもなぜか思うように生徒が集まらないということが起きるんです。
教室の集客と自己肯定感

日本は昔から「謙遜」や「謙虚であること」が美徳とされる文化や価値観が根付いていますよね。
その影響もあり、必要以上に自分を謙遜してしまったり、謙虚になりすぎてしまうことで、自分自身を過小評価してしまう傾向があるのではないかと思います。
だからといって、自信満々で自己主張ばかりする、むしろ“自意識過剰”になりましょうということではありません。
あくまでも大切なのは、自分のことを客観的に、冷静に、正しく評価できることだと思います。
そうした観点を踏まえたうえで、今回はご自身の価値をしっかりと認め、自信を持って日々の経営に取り組んでいけるようになるための、私がおすすめする具体的な3つの方法をご紹介したいと思います。
これを実践していただくことで、先生お一人おひとりがご自身を適切に評価し、自己肯定感を高めていくことができるようになるでしょう。
自己肯定感を高める3つの具体的な方法

その3つの方法とは、以下の通りです。
まず1つ目は、「素敵ポイントをシェアする」という取り組みです。
2つ目は、「グッド&ニュー」という習慣です。
そして3つ目は、「褒められたときのリアクションを準備する」ということです。
それでは、これら3つの方法について、順番に詳しくご説明していきます。
1つ目の方法:「素敵ポイントをシェアする」

まず1つ目の「素敵ポイントをシェアする」という取り組みについてですが、これは私のクライアントの先生が実際に行っている実践的な方法です。
「素敵ポイントをシェアする」とは、たとえばレッスンの終わりに、生徒たちと一緒に「その日のレッスンで自分が素敵だったと思えるポイント」や「自分を褒めてあげたいところ」を一人ずつ発表してもらうというものです。
先生も一緒になって発表することで、生徒と同じ目線で取り組むことができます。
これは、長々とした発表ではなく、「今日は◯◯ができてよかったです」や「今日はここが素敵でした」といった、一言二言でできるシンプルなものです。
5分程度でできるため、時間的な負担も少なく取り入れやすいものです。
なお、大人数のクラスでは、5〜6名の小グループに分けてその中で発表してもらう形にすると、よりスムーズに進めることができます。
ネガティブ発言をきっかけに生まれた取り組み

この取り組みを始めた先生によると、きっかけは生徒たちがレッスン中によく「もう無理」、「できない」といったネガティブな言葉を口にするようになっていたことでした。
そうした発言は教室全体の雰囲気を下げるだけでなく、生徒自身も自分を傷つけてしまうことになるため、先生としては避けたいと感じていたんです。
そこで、どうすれば生徒たちが前向きな気持ちになり、自己肯定感を育てていけるか?を考えた末に思いついたのが、この「素敵ポイントのシェア」だったそうです。
初めは生徒たちも戸惑っていたそうですが、数回繰り返すうちにすぐに慣れてきて、とくに子どもたちは「今日はこれができて良かった」といった具合に、自分の中の素敵な部分を自然に発表するようになったそうです。
もちろん最初はなかなか言葉が出てこない子もいますが、そんなときは周りの生徒たちが「◯◯がすごかったじゃん」とフォローしてくれたりします。
その様子を見て、先生自身も「この子は、他の子をこういうふうに見ていたんだな」という新たな気づきが得られたそうです。
そして回数を重ねるごとに、どの子も自分の良さを言語化できるようになり、自分の価値を素直に認めることができるようになっていったそうです。
自己肯定感を育てるレッスン時間に

これはまさに、自己肯定感を高めるためのトレーニングです。
実際にこの取り組みを続けていると、生徒同士でお互いを褒め合ったり、時には先生が「今日はシェアタイムを忘れてしまった」となると、生徒のほうから「先生、今日素敵ポイントやらないの?」と声があがることもあるそうです。
生徒たちのほうから、積極的に「素敵ポイント」をシェアするようになった、という報告もありました。
そうやってお互いに、自分の良いところや素敵なところをシェアし合うことで、レッスン自体がとても活気のある、盛り上がった雰囲気になっていったんですね。
つまり、良い空気感でレッスンを終えられるようになったわけです。
そのため、生徒たちは「今日のレッスンは楽しかった」という記憶を持って帰るようになりました。
そういった体験が積み重なることで、「教室でのレッスンは楽しいものだ」という前提が、生徒の中に生まれてくるんです。
やっぱり、人って楽しい場所には行きたくなるものですよね。
そして、人が集まりたくなる場所にもなっていきます。
このようにして、教室の雰囲気がとても良くなってきたといいます。
教室を「パワースポット化」するという夢

先生ご自身も以前から、「自分の教室をパワースポットのような場所にしたい」とおっしゃっていたんです。
そういう願いが、楽しい雰囲気によって実現しつつあるわけですね。
生徒たちは元気になって教室を後にし、教室全体が活気ある空間へと変化していったのです。
ちなみに、最初はその「素敵ポイント」のシェアには先生は参加しておらず、生徒たちだけで行っていたそうです。
しかし、ある生徒が「先生も素敵(ポイント)言わないの?」と言い始めたことがきっかけで、先生も参加するようになりました。
先生ご自身も、自分の素敵ポイントをシェアするようになったことで、気持ちがとても明るくなったとおっしゃっていました。
自己肯定感が教室運営に与える影響

もちろん、因果関係をデータで証明するのは難しいですが、私が見ている限りでは、先生がその取り組みを始めてから、毎月「生徒が増えています」と報告されるようになったと感じています。
理由ははっきりしませんが、私はその要因の一つに「自己肯定感の向上」があるのではないかと感じています。
自己肯定感が高まると、生徒数や収入、売上も自然と上がっていく傾向があります。
ですから、この「素敵ポイント」の取り組みを通じて、自分で自分を認めることができるようになり、それが自己肯定感を高め、最終的には望んだ結果に結びついていくということを、私自身の経験から感じています。
これが「素敵ポイントのシェア」に関するお話でした。
2つ目の方法:「グッド&ニュー」

つづいて2つ目の話題、「グッド&ニュー」についてお話しします。
ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、この「グッド&ニュー」も先ほどの「素敵ポイント」と少し似た取り組みです。
やり方としては、レッスンの始まりなどに、「24時間以内に起きた嬉しかったこと」や「新しい発見」を一人ひとりが発表し、それをみんなにシェアするというものです。
発表時間は一人1分ほどなので、あまり時間はかかりません。
この「グッド&ニュー」は、アメリカの教育学者、ピーター・クライン先生によって考案されたものだと言われています。
当時、荒廃していたアメリカの学校を、短期間で立て直す手法として導入されたとのことです。
実際に、その学校ではホームルームの時間に「グッド&ニュー」を取り入れ、毎日生徒一人ひとりが「最近の嬉しかったこと」や「新しい発見」を発表し、発表が終わるとみんなから拍手をもらう、という活動を行っていました。
その結果、学校全体が落ち着きを取り戻し、暴力事件などの問題行動も大幅に減っていったそうです。
なぜ「ポジティブな共有」が効果を生むのか?

では、なぜ「良かったこと」や「新しい発見」をシェアすると、荒れていた学校や子どもたちが落ち着きを取り戻していくのでしょうか。
ちなみに、そのアメリカの学校の荒廃ぶりは、日本よりもはるかに深刻だったとされています。
警察が学校に来るのが日常茶飯事で、生徒がナイフなどの危険物を持ち歩いていることも珍しくなかったそうです。
そうした状況が、「グッド&ニュー」によって改善されたんですね。
その背景には、いくつかの心理的な効果があると考えられています。
まず、「良かったこと」や「新しい発見」といったトピックは、ポジティブな出来事です。
そうした出来事を思い出し、ポジティブに捉えることで、目の前の現実も良い方向に進みやすくなり、ストレスも軽減されるという研究結果があります。
さらに、ポジティブな発言を聞いた周囲の人たちは、モチベーションが上がったり、心地よい刺激を受けたりするそうです。
また、そうしたポジティブな発言をする人に対しては、「信頼できる」「仲間になりたい」といった好意的な印象を持ちやすくなるといいます。
問題行動を起こす子どもへの変化と期待される効果

つまり、その発言者自身が、周囲の人のやる気の源になっていくわけです。
実際のところ、問題を起こしがちな子どもは周囲から避けられがちで、孤立しやすい傾向にあります。
でも、その子がポジティブな発言をし、拍手をもらい、周囲に人が集まってくるようになると、気持ちが前向きになり、やる気も高まる効果が期待できるんです。
また、そうしたポジティブな発言をすると、脳内ではセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンといった「幸せホルモン」がバランスよく分泌されるとも言われています。
これらのホルモンが分泌されることで、幸福感が高まり、意欲や集中力、記憶力の向上につながります。
その結果、ネガティブな状態のときと比べて、生産性が約30%も高まるという研究結果もあるそうです。
このような取り組みをホームルームなどで継続的に行えば、生徒たちも次第に落ち着きを取り戻していくというのは、自然な流れだと思います。
習慣化による「リフレーミング」の力

さらに、この「グッド&ニュー」を続けることで、ただポジティブな発言をするだけでなく、物事をポジティブに捉える力が養われていきます。
例えば、ある生徒が「今日は学校に遅刻してしまいました」と発言したとしましょう。
一見すると、ネガティブな出来事のように聞こえます。
しかしその後に、「玄関で靴を履こうとしたら靴ひもが切れてしまい、それを直すのに時間がかかって遅刻してしまいました。でも、おかげで体育の授業の前に靴ひもが直せて、ちゃんと受けることができました。良かったです」とつづけたとします。
このように、一見ネガティブに見える出来事をポジティブに捉え直す力を「リフレーミング」と言います。
リフレーミングとは、心理学で用いられるテクニックで、視点を意識的に変えることで感情や行動を前向きに導く方法です。
「グッド&ニュー」を実践することで、このリフレーミングの力が育まれ、ポジティブな視点で現実を捉えることができるようになるのです。
その結果として、現実も望ましい方向に進んでいきやすくなり、さらには応援したくなる仲間たちも集まってきます。
そうした仲間の力を借りることで、さらに望む方向に前進していけるようになる。
これが、「グッド&ニュー」の持つ大きな力なのだと思います。
教室での実例

グッド&ニューの話に入る前に少し説明が長くなってしまいましたが、実際に私のクライアントの一人で、学習塾の先生がこの取り組みを導入し始めたんです。
その先生がおっしゃっていたのは、グッド&ニューを始めるようになってから、生徒たちの勉強に対するストレスが軽減されたということです。
また、授業への入り方もスムーズになり、生徒たちが集中しやすくなったという実感を得られたそうなんですね。
さらに別のクライアントで、フラダンスの教師をしている方も、グッド&ニューを取り入れていらっしゃいます。
ただ、その教室では一時期グッド&ニューが実施できなかったクラスもあったそうです。
その教室では、年齢やダンスの技能・レベルによっていくつかのクラスに分かれていて、特にイベントなどにメインで出演するクラスは、イベントに向けた集中レッスンが必要だったため、数分間のグッド&ニューの時間も惜しいという状況があったようです。
そういった理由で、グッド&ニューを行わない期間が一時的にあったとのことです。
一方で、グッド&ニューを継続的に実施できていたクラスもあり、同じ教室内でもやっているクラスとやっていないクラスが存在していたわけです。
そしてある程度の期間が経過したあとで、両方のクラスを比較してみたところ、明らかにグッド&ニューを継続してきたクラスの方が、生徒同士のつながりや絆、団結力が強くなっていると先生自身が実感されました。
特にフラダンスというのは、チームで踊る「グループダンス」の要素が強いですから、息を合わせて一糸乱れぬ踊りをするということが非常に大切になってきます。
それを実現するためには、生徒一人ひとりとのつながりや絆が非常に重要になると思います。
そういう観点からも、グッド&ニューは必要だということで、一時期やっていなかったクラスでも、現在では時間を区切って再び取り入れるようになったという話もありました。
習慣化がもたらす「人生のコントロール感」

このように、グッド&ニューは本当に数分でできて、しかもそれを積み重ねていくことで大きな効果を生むと、私は強く感じています。
グッド&ニューを習慣化していくと、目の前の現実も自然と良い方向に進んでいきます。
グッド&ニューを習慣化することで、結果として一人ひとりにとって、良いことが起きるのが当たり前になってくる感覚が芽生えたり、先ほども触れた「幸せホルモン」が分泌されて、常にポジティブな脳の状態を保てるようになるんですね。
そうしたポジティブな状態がデフォルト、つまり通常の状態になってくると、「私は人生を自分でコントロールできている」という感覚が自然と育っていくわけです。
私がこれまで多くの先生方を見てきた中で観察して感じるのは、自己肯定感が高い先生ほど、自分の人生を自分でコントロールできているという感覚を持っているということです。
もちろん、そのことを言葉にされるわけではありませんが、会話の中での表情や声のトーン、使う言葉などから、私はそういった印象を受けるんですね。
一方で、自己肯定感が低い先生というのは、「人生を自分でコントロールできていない」と感じている傾向があるように思います。
「私は、いつも周囲に振り回されてしまう」といった感覚を持っていることが、多いように感じます。
ですから、自分が望む方向に物事を進めていく、またそのためにコントロールできるという感覚を育てるという意味でも、グッド&ニューは非常に有効な取り組みだと思います。
これが、自己肯定感を高めるための2つ目の方法としてご紹介している「グッド&ニュー」の効果なんですね。
3つ目の方法:「褒められたときのリアクションを準備する」

そして、3つ目の方法としてお伝えしたいのが、「褒められたときのリアクションを準備すること」です。
ここまで自己肯定感を高めるための3つの方法とお伝えしていますが、正確に言うと、「自己肯定感を最適化する方法」だと私は考えています。
なぜなら、「自己肯定感を高める」と考えると、前提として「今の自分は自己肯定感が低い」という状態を自分に言い聞かせることになってしまうからです。
つまり、「私は自己肯定感が低いから高めなきゃ」と意識すること自体が、自分に「私は自己肯定感が低い」と暗示をかけてしまっているんですね。
その前提で今日ご紹介したような方法を取り入れても、思うように自己肯定感が上がらない可能性があります。
むしろ、「自己肯定感が低い」というセルフイメージを強化してしまうリスクもあると思うんです。
自己肯定感とは、最初にもお伝えしたように「ありのままの自分を、良い面も悪い面も含めて肯定的に受け入れる」という感覚のことです。
ですから、「〇〇ができない自分はダメだ」と考えるのは、本来の意味での自己肯定感とは違うと思います。
そういう意味でも、自分自身のすべてを評価する姿勢が大切だと思いますし、「高める」ではなく「最適化する」という考え方の方が、結果としてご自身の自己肯定感や現実をより良い方向へ導いてくれるのではないかと考えています。
「自己肯定感を下げない行動」を意識する

その上で、3つ目の取り組みに関連してお伝えしたいのが、「自己肯定感を最適化するために大切なことは、自己肯定感を高める行動をすること」と、「それを阻害するような行動を避けること」です。
少し複雑に聞こえるかもしれませんが、分かりやすく言えば、「自己肯定感を上げる取り組みをすること」と、「自己肯定感を下げるような言動をしないこと」、この両方が必要なんです。
そのうえで、先ほど紹介した2つの取り組みが、自己肯定感を上げる行動として非常に効果的です。
そして、3つ目にお勧めしたい「褒められたときのリアクションを準備すること」は、自己肯定感を下げないための行動としてとても重要になります。
日本では、文化的に謙虚さや謙遜が美徳とされているせいか、褒められると「いやいやそんなことないです」、「私なんて全然ダメですよ」と反射的に否定してしまうことが多いように感じます。
もちろん、そういった言動が日本の人間関係を円滑にする役割を果たしているという一面も否定はできません。
しかし、仮にそれが人間関係を良くするための言動であったとしても、「いやいや自分なんて…」という言葉を、私たちの脳は確実に聞いているのです。
その言葉を繰り返していくと、脳は「この人は自分を否定する人なのだ」と解釈し始めます。
そしてその結果、「自分はダメだ」と感じる現象を引き起こしたり、そう思わせるような情報ばかりを無意識に集めるようになってしまいます。
そうなると、どれだけグッド&ニューなどでポジティブな取り組みをしても、自分を否定する言動をつづけていると、結果的にはプラスマイナスゼロ、場合によってはマイナスになってしまうことすらあるんです。
否定しないリアクションを準備しておく

ここで強調したいのは、「褒められた時に謙遜するのがいけない」ということではありません。
問題なのは、褒められたときの反応が「いやいや、自分なんて全然ダメですよ」というワンパターンしかないという点なのです。
そこで褒められたときに、自分のことを否定せず、なおかつ相手にも不快な印象を与えないリアクションを、あらかじめ考えておきましょう。
そして、いざ周りから褒めの言葉をいただいたときに、そのリアクションを反射的に出せるように準備しておくことをおすすめします。
たとえば、どういったリアクションがあるかというと、そうですね、教室に通っている生徒の保護者の方から「子どもが先生の授業が良いと言って、とても喜んでいるんです」といった声をいただいたとします。
そのときに、どのようなリアクションをすれば、自分を否定せず、かつ相手にも不快感を与えないかということを考えてみましょう。
相手も自分も心地よくなる返し方とは?

いくつかパターンはあるかもしれませんが、ひとつ例を挙げるとすれば、先ほどのように「子どもが先生の授業が良いと言って喜んでいるんです」という言葉に対して、こう返すのも良いかもしれません。
最初は「いえいえ、そんな…」と言いたくなるかもしれませんが、その後に「でも、ありがとうございます。そう言っていただけるのは、○○くんが集中力をもって真面目に頑張ってくれているおかげでもあるんですよ」といった返し方です。
このように、お褒めの言葉に対して「ありがとうございます」と感謝の言葉を伝えると同時に、相手や生徒を褒める言葉を混ぜるというのは、ひとつの有効な方法だと思うんですね。
「いえいえ」と一度謙遜したとしても、「でも、そう言っていただけて嬉しいです。ありがとうございます。でもそれは○○くんが本当に頑張ってくれているからなんです」と返すと、相手も嫌な気分にはならないですよね。
魅力的なリアクションが人を引き寄せる

ですから、感謝の言葉や、相手を褒める言葉を折り混ぜながら、お褒めの言葉にリアクションするのは、とても良い方法だと思うんです。
そういったリアクションができれば、自分自身の自己肯定感を下げることもありませんし、相手を褒めることで、相手の自己肯定感も高めることができます。
結果として、自分自身にも、相手にも良い影響を与えることができる、ハッピーなリアクションになると思うんですね。
どうでしょうか? そういうふうに、周りの人を明るくするような言動をする人って、やはり魅力的に映ると思います。
そうなってくると、やはり人は魅力的な人、魅力的な場所に自然と集まるという本能的なものがあるんじゃないかと、私は思います。
魅力的な言葉を使う人の周りには、自然と人が集まり、結果として教室全体に活気が生まれてくると思います。
そういった意味でも、今日お伝えした「自己肯定感を上げる」、より正確には「自己肯定感を最適化する」ための3つの方法は、とても有効なのです。
習慣化しやすい実践的な方法

今回、紹介したこれらの方法をおすすめする理由は、すべて日々のレッスンの中に組み込むことができる点です。
新たに何かを始めるのではなく、既存のレッスンの中で取り組めるので、実行しやすいというメリットがあります。
たとえば、自己肯定感を高めるために新しい取り組みを始めたり、時間を割いて特別なことをしようとすると、習慣化するのは難しくなります。
しかし、今日のお話の内容は、日頃行っているレッスンの中で、ほんの5分間「素敵ポイント」や「グッド&ニュー」を取り入れるだけです。
先生がわざわざ時間を割く必要も、ご自身の時間を削る必要もありません。
だからこそ、日々の行動の中に取り入れやすく、習慣化しやすいのです。
さらに、「素敵ポイント」や「グッド&ニュー」は、複数人で行うとより効果的で、習慣として定着しやすいという利点もあります。
つづければつづけるほど、その効果は実感していただけると思います。
習慣化が成功のカギを握る

ただし、一時的な取り組みでは、効果が見えにくいという側面もあります。
ですから、いかに習慣としてつづけていくか?が重要になってくるのです。
その点、レッスンの中に組み込めば、他の生徒さんや講師の方々を巻き込んで実践することができます。
たとえば、「素敵ポイント」を先生がうっかり忘れていたら、生徒さんが「先生、今日は素敵ポイントやらないの?」と声をかけてくれることもあるかもしれません。
そういった形で、自然と習慣化されていくこともあるのです。
その結果、「自己肯定感を最適化する習慣」が日々の中に根づいていきます。
また、逆に自己肯定感を下げてしまうような言動、「いやいや、そんな…」といった謙遜のクセも、複数人で取り組むことで、周りの人が気づかせてくれるようになります。
「あ、今、謙遜したね」とか「ちょっと自己肯定感が下がる発言だったかも」といった指摘をし合える関係になることで、自分では気づきにくいクセにも気づくことができるようになります。
特に、謙遜のような言動はクセになっていて、本人も無意識に言ってしまっていることが多いんですね。
私もこの話をクライアントの先生方とのセッションでお伝えすることがありますが、「謙虚になりすぎないようにしましょうね」とお話しした直後に、「いやいや、私なんて…」と謙遜してしまう方もいらっしゃいます。
それくらい無意識の習慣になっていることもあります。
だからこそ、複数人で取り組んで、周囲からのフィードバックがあると、自分でも気づきやすくなるのです。
そして、そういった指摘を通じて自己肯定感を下げるような発言を減らし、逆に自己肯定感を高めるような言動ができるようになっていきます。
最後に:ひとつから始めてみましょう

自己肯定感というのは、生まれつき決まっているものではありません。
もうおわかりのとおり、習慣によって育てていけるものです。
ですから、ぜひ今日ご紹介した3つの方法のうち、全部でなくても構いません。
できることから一つでも始めていただけたら、先生の自己肯定感にも変化が起きると思います。
ぜひ、どれかひとつでも日々のレッスンに取り入れてみてください。
このブログをご覧の先生方の教室運営が、もっと安心して前に進んでいけるよう、心から応援しております。




