今回は、料理教室の先生からご相談を頂戴しました。
早速、ご相談内容を読み上げていきたいと思います。
「材料費も上がっているので、本当は価格を見直したいと考えています。
でも、長く通ってくださっている生徒さんの顔を思い浮かべると、値上げしていいのかなと気が引けてしまいます。
値上げの必要性は理解しているのですが、生徒さんに申し訳ないという気持ちが先に立ってしまい、価格を上げることに強い抵抗があります。
この気持ちは、どう整理すればいいのでしょうか。」
というご相談です。
ご相談いただき、どうもありがとうございます。
特に、長く通ってくださっている生徒さんほど、先生と生徒という枠を超えた関係性が築かれているのではないかと思います。
だからこそ、材料費が上がっている状況であっても、先生としては値上げをすることに対して、気持ちの面で引っかかりを感じてしまうのだと思います。
そのお気持ちは、とても自然なことだと僕は感じます。
まず、これまでにそのような素晴らしい関係性を築いてこられたこと、そして長く通いたくなるレッスンを継続して提供されてきたこと自体が、本当に素晴らしいことだと思います。
そのうえで、これからどうしていくのが望ましいのかを考える際の一つの視点として、このお話を受け取っていただければ嬉しいです。
まずは自分ならどう考えるかを整理してみる

ここで、これをご覧になっている先生方に、少しだけ提案があります。
今回の料理教室の先生のご相談に対して、もし先生ご自身が第三者の立場だったとしたら、どのようなアドバイスをされるでしょうか。
あるいは、もし先生ご自身が今回のご相談者の立場だったとしたら、どのように考え、どのような行動を取られるでしょうか。
ぜひ一度、ここで立ち止まって考えてみてください。
一度「自分だったらどう考えるだろうか」と整理してから、続きをご覧いただければと思います。
それでは、話を続けていきます。
この問題の本質はお金ではなく人間関係かもしれない

今回のご相談は、一見すると「値上げ」というお金の問題のように見えます。
しかし僕は、このご相談の本質は、お金そのものではなく、人間関係にあるのではないかと感じています。
どういうことかと言うと、先生がこれから生徒の皆さんと、どのような関係性を築いていきたいのかという点を、一度立ち止まって考えるタイミングが来ている、というサインではないかと思うのです。
今回の出来事は、その問いを投げかける形で表面化しているのではないでしょうか。
文章から判断する限りですが、先生は値上げそのものが怖いというよりも、値上げによって生徒さんとの信頼関係が壊れてしまうのではないか、という点を強く心配されているように感じました。
そして、どこかで「値上げ=信頼関係が壊れる」というイメージを持っていらっしゃるのではないでしょうか。
ここで改めて考えてみていただきたいのですが、先生はなぜ「申し訳なさ」を感じていらっしゃるのでしょうか。
値上げによって、生徒さんに経済的な負担をかけてしまうと感じているからでしょうか。
あるいは、値上げによって、何かを我慢させてしまうのではないかという思いがあるからでしょうか。
きっと、それ以外にも、先生の中にいくつか理由があるのだと思います。
それだけ生徒さんのことを思い、気遣いながらレッスンをされてきたからこそ、今の関係性が築かれてきたのだと思います。
だからこそ、生徒さんが長く通ってくださっているのだと感じます。
生徒さんも先生に申し訳ないと感じているかもしれない

ただ一方で、もし先生ご自身が無理をしていたり、我慢をしていることを、生徒さんが感じ取っていたとしたら、どうでしょうか。
特に長く通っている生徒さんほど、先生が材料費の高騰を一人で背負っていることに、薄々気づいている可能性もあります。
今は、あらゆるものの価格が上がっている時代です。
ニュースでも日常的に物価高が報じられています。
その中で、料理教室の材料費が上がっていないはずがないことは、生徒さんも理解しているはずです。
それでも価格が据え置かれていることに対して、「先生が負担してくれているのではないか」と感じている生徒さんがいても、不思議ではありません。
もしかすると、生徒さんの側も、「先生に申し訳ない」と感じている可能性があるのではないでしょうか。
お互いを思いやる気持ちが強いからこそ、本音を言えずにいる。
そんな、思いやりゆえのすれ違いが起きている可能性もあるのではないかと思います。
この状況は、先生が本当に望んでいる生徒さんとの関係性でしょうか。
値上げを考える前に考えたいこと

ここで改めて考えてみていただきたいのは、先生はこれから、生徒の皆さんとどのような関係性を築いていきたいのか、という点です。
そして、その関係性を支えるものとして、今の価格設定はふさわしいでしょうか。
今回のご相談は、「値上げをするかどうか」を考えることが目的ではなく、「どんな関係性で教室を続けていきたいのか」を考えることが先なのではないかと、僕は思います。
その答えが明確になったとき、価格は無理に決断するものではなく、自然な流れの中で定まっていくものだと思います。
ここで、二つほど補足としてお話しさせてください。
以前、年商数百億円規模の企業の社長さんから、こんな話を聞いたことがあります。
「お客様の財布事情を、こちらが勝手に決めてはいけない」という言葉です。
商品やサービスの価格を決めるときに、「この値段だと高すぎて、お客さんは買えないだろう」と判断してしまうことがあります。
しかしそれは、提供する側が勝手にお客様の事情を決めつけている行為であり、ある意味でお客様を見下していることになる、というのです。
値上げをするかどうかではなく、その価格に見合う価値を提供できているかどうかが大切なのだと思います。
もし価格に見合わないものであれば、いずれ選ばれなくなります。
一方で、価格に見合う価値があるのであれば、納得して通い続けてくださる方は必ずいらっしゃいます。
私がコーヒー屋さんで感じたこと

もう一つ、個人的な体験をお話しします。
僕の近所に、ずっと通っているお気に入りのコーヒー屋さんがあります。
正直なところ、そのお店は「安すぎる」と感じていました。
この値段で、本当に続けていけるのだろうかと、心配になるほどでした。
だから、少し値上げされたとき、僕はむしろ安心しました。
「これで、このお店が長く続くなら嬉しい」と感じたのです。
お店や教室に愛着を持っている人ほど、相手に無理をしてほしくないと願うものです。
生徒さんも、先生が無理をしながら続ける教室よりも、先生自身が満たされた状態で続けられる教室を望んでいるのではないでしょうか。
改めて、先生がこれからどんな関係性を生徒さんと築いていきたいのかを、丁寧に考えてみてください。
その関係性を実現するために、どの価格がふさわしいのかを見直してみることを、僕はお勧めします。
先生ご自身を信頼し、生徒さんを信頼しながら、より良い関係性を築いていかれることを心から願っています。
以上が、今回の僕からの回答です。
今回の気づきを自分の教室にも活かす

今回のご相談に対して、冒頭で「ご覧いただいている先生なら、どんなアドバイスをしますか?」、あるいは「ご自分がその立場なら、どんな行動を取りますか?」ということをお伺いしましたが、覚えていらっしゃいますでしょうか。
その答えは、意外と「現在の先生ご自身の教室で実行すると効果的なもの」だったりするんじゃないかな、と僕は思うのですが、いかがでしょうか。
中には、「これは今の自分の教室をより良くするアイデアとして活用できるな」と感じられた先生も、いらっしゃるのではないかと思います。
なので、ぜひ今回のアドバイスやアイデアを、先生ご自身の教室でも実行されることをおすすめいたします。
そして最後に、これも毎回お伝えしているのですが、今回のように先生方からのご相談に僕のほうでお答えする機会を、これからも作っていきたいと思っております。
ご相談は、僕のホームページのお問い合わせフォームから受け付けております。
日頃、教室に関して疑問に思われていることや、誰かに質問してみたいと感じておられることがある先生は、ぜひホームページのお問い合わせフォームからお寄せいただければと思っております。
ということで今回は、料理教室の先生のご相談にお答えいたしました。





