元講談社の編集者で、佐渡島庸平さんという方がいらっしゃいます。
マンガ「ドラゴン桜」や「宇宙兄弟」などの大ヒット作の編集をされた方なんですね。
以前、あるテレビ番組に佐渡島さんが出演されていたときに、おもしろいことを仰っていました。
編集者という仕事は、ときに作家さんとともに作品についてのアイデアを練ったりもされるそうです。
その過程では、作家さんのお話しをじっくり聞いて、作品やストーリーに込めた想いなどを拾い上げて行くそうです。
そうすると、作家さん本人が発する言葉やメッセージを“社会に伝わる言葉”に変換しないと伝わらないケースがあるそうです。
作家さんの想いを、そのままの言葉で表現してしまうと真意が伝わらないんですね。
そこで「それはこう伝えたほうが、より社会に伝わりますよ」というふうに、適確な表現に置き換えるようアドバイスされるのだそうです。
それが編集者にとっての、大事な仕事のひとつだと仰っていました。
先生の想いを、世の中に向けて変換する
このお話を聞いて僕は「ネット集客も同じだな」と感じました。
例えば、スクールのホームページで、ときどき「アロマで華やぐ生活」のような、“抽象的”なキャッチコピーを見かけることがあります。
この手のキャッチコピーは、雰囲気こそ伝わることはあっても、読み手にとっての
- ベネフィット(得に感じること)や
- ニュース性
- 好奇心
といったことを喚起することは難しいです。
そのため、このキャッチコピーでは残念ながら読み手に響くコピーにはなりにくい・・・。
しかし厳密に言うと、このコピーが読み手の欲求を喚起できていないというよりは、このコピーの“奥にあるストーリー”が伝わっていないことが読み手の欲求を喚起できていないのだと僕は考えます。
「アロマで華やぐ生活」
このコピーを考えられるご本人は「アロマで華やぐ生活」と聞くだけで
- アロマがどんなものなのか?
- どんなことがもたらされるのか?
- それがどう未来を変えて行くのか?
まで、一連のストーリーとして頭の中で鮮明に映像(イメージ)が描かれているのだと思うんですね。
すべてが凝縮された
「アロマで華やぐ生活」
なんですが、残念ながら世の中の人は同じイメージを描けない・・・。
だからこそ、世の中に伝わる表現に言葉を変換し、伝える必要があります。
「アロマで華やぐ生活」
は、いわば繭のような状態です。
そこから生糸を紡いでいくように、一連のストーリーを伝わる言葉としてていねいに表現して行きます。
ひと塊の繭から長い生糸が紡がれるように、ひとつのフレーズからすべての価値を伝え切る言葉を紡ぎ上げます。
繭よりも、紡いだ生糸のほうが多くの方に重宝されるように、おぼろげなキャッチコピーよりも、長くともじっくりと価値を伝え切った文章のほうが多くの方に理解を促し、役立つことになります。
先生がすでに提供してこられた講座、運営されてきた教室には先生がこれまで培ってこられたすべての価値が凝縮されています。
それを余すことなく、生徒さんに届けられるよう、どうかご自身のすでにある価値を多くの方に届く言葉に紡いで伝え切って欲しいと思います。